肘関節内粉砕骨折に対する創外固定術後に医原性橈骨神経麻痺を来した一例

【はじめに】肘関節内粉砕骨折に対する創外固定は治療選択の一つである.その際,上腕骨側のピンによる橈骨神経損傷に注意が必要だが,医原性橈骨神経麻痺の報告は少ない.今回,肘関節内粉砕骨折に対する創外固定術後に橈骨神経麻痺を呈した一例を経験したので報告する.【症例】25歳男性.バイク走行中転倒し受傷.画像精査で右上腕骨遠位端骨折(AO/OTA 13C3.2)と診断.同日創外固定を設置.術後に下垂手と橈骨神経領域の触覚低下を認め,術翌日に上腕骨遠位側のピン刺入部を切開し観察したところ,ピンが橈骨神経に干渉しており,これを抜釘した.その後麻痺は術後4週で手関節背屈はMMT4まで回復した.【考察】上腕骨へ...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 71; no. 4; pp. 872 - 874
Main Authors 松下, 優, 前, 隆男, 佐々木, 颯太, 岡, 和一朗, 北出, 一季, 林田, 光正, 小宮, 紀宏, 倉員, 太志, 貴島, 賢, 塚本, 伸章, 馬場, 覚
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 25.09.2022
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ISSN0037-1033
1349-4333
DOI10.5035/nishiseisai.71.872

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Summary:【はじめに】肘関節内粉砕骨折に対する創外固定は治療選択の一つである.その際,上腕骨側のピンによる橈骨神経損傷に注意が必要だが,医原性橈骨神経麻痺の報告は少ない.今回,肘関節内粉砕骨折に対する創外固定術後に橈骨神経麻痺を呈した一例を経験したので報告する.【症例】25歳男性.バイク走行中転倒し受傷.画像精査で右上腕骨遠位端骨折(AO/OTA 13C3.2)と診断.同日創外固定を設置.術後に下垂手と橈骨神経領域の触覚低下を認め,術翌日に上腕骨遠位側のピン刺入部を切開し観察したところ,ピンが橈骨神経に干渉しており,これを抜釘した.その後麻痺は術後4週で手関節背屈はMMT4まで回復した.【考察】上腕骨への創外固定ピン刺入の際には,橈骨神経の解剖及びピン刺入部の危険領域を理解する必要がある.上腕骨への創外固定ピン刺入時は,十分に展開して橈骨神経の巻き込みがないことを肉眼的に確認する必要がある.
ISSN:0037-1033
1349-4333
DOI:10.5035/nishiseisai.71.872