前脛骨筋腱皮下断裂の1例

今回われわれは,比較的稀な前脛骨筋腱皮下断裂の1例を経験したので報告する.症例は70歳男性,1ヶ月前から特に誘引なく右足関節の腫脹と歩行困難が出現.近医受診し利尿薬内服で経過観察となるも症状改善せず当科受診となった.初診時所見では右足関節前面の腫脹と前脛骨筋腱レリーフの消失,足関節背屈の著明な筋力低下を認めた.エコー所見で右前脛骨筋腱の皮下断裂を認め,MRIでも同様の所見を認めた.前脛骨筋腱皮下断裂の診断で,脊椎麻酔下に手術を行った.前脛骨筋腱の走行に沿った斜切開でアプローチし,上下伸筋支帯を切開し,断裂腱の近位端を露出した.遠位端は同定困難であった.自家膝蓋靭帯(以下BTB)を採取し再建術を...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 71; no. 2; pp. 261 - 266
Main Authors 廣田, 康宏, 日浦, 健, 小野, 哲生
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 25.03.2022
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ISSN0037-1033
1349-4333
DOI10.5035/nishiseisai.71.261

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Summary:今回われわれは,比較的稀な前脛骨筋腱皮下断裂の1例を経験したので報告する.症例は70歳男性,1ヶ月前から特に誘引なく右足関節の腫脹と歩行困難が出現.近医受診し利尿薬内服で経過観察となるも症状改善せず当科受診となった.初診時所見では右足関節前面の腫脹と前脛骨筋腱レリーフの消失,足関節背屈の著明な筋力低下を認めた.エコー所見で右前脛骨筋腱の皮下断裂を認め,MRIでも同様の所見を認めた.前脛骨筋腱皮下断裂の診断で,脊椎麻酔下に手術を行った.前脛骨筋腱の走行に沿った斜切開でアプローチし,上下伸筋支帯を切開し,断裂腱の近位端を露出した.遠位端は同定困難であった.自家膝蓋靭帯(以下BTB)を採取し再建術を行った.近位端とBTBをinterlacing sutureで縫合し,舟状骨内側に2本のアンカーを挿入してBTBの脛骨部を縫着した.術後は大腿部中央部からMTP関節までのギプス固定を4週間行い,5週目からROM訓練,7週目から部分荷重訓練を開始した.JSSF Ankle scoreは術前68点が術後12ヶ月では100点まで改善した.
ISSN:0037-1033
1349-4333
DOI:10.5035/nishiseisai.71.261