リウマチ性多発筋痛症に合併した非定型抗酸菌による広範な化膿性屈筋腱腱滑膜炎の1例

非定型抗酸菌により広範囲に進展した化膿性屈筋腱腱滑膜炎の1例を経験した.症例は74歳,男性,造園業.リウマチ性多発筋痛症にてステロイド内服中で,2ヶ月前より右手掌部~前腕近位部の腫脹と疼痛が認められたが,感染症は疑われていなかった.その後,疼痛増強と前腕部に腫瘤形成が出現し,当科紹介.炎症反応はWBC 9770/mm³,CRP 1.49mg/dlと軽度であったが,MRI画像にて前腕の浅指屈筋腱周囲に多房性病変と,手関節周辺にかけて屈筋腱周囲に広範に広がる病変を認めた.直ちに切開,生検を施行し,培養にてMycobacterium intracellulareが同定された.非定型抗酸菌による化膿性...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 72; no. 3; pp. 565 - 568
Main Authors 田口, 勝規, 糸瀬, 賢, 荒木, 貴士, 明島, 直也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 25.09.2023
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ISSN0037-1033
1349-4333
DOI10.5035/nishiseisai.72.565

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Summary:非定型抗酸菌により広範囲に進展した化膿性屈筋腱腱滑膜炎の1例を経験した.症例は74歳,男性,造園業.リウマチ性多発筋痛症にてステロイド内服中で,2ヶ月前より右手掌部~前腕近位部の腫脹と疼痛が認められたが,感染症は疑われていなかった.その後,疼痛増強と前腕部に腫瘤形成が出現し,当科紹介.炎症反応はWBC 9770/mm³,CRP 1.49mg/dlと軽度であったが,MRI画像にて前腕の浅指屈筋腱周囲に多房性病変と,手関節周辺にかけて屈筋腱周囲に広範に広がる病変を認めた.直ちに切開,生検を施行し,培養にてMycobacterium intracellulareが同定された.非定型抗酸菌による化膿性屈筋腱腱滑膜炎と診断し,手掌部~前腕近位に及ぶ広範囲で,屈筋腱周囲の病巣掻把,滑膜切除を行った.病理検査で,類上皮肉芽腫の形成を認めた.術直後より化学療法を開始し,経過は良好である.リウマチ性疾患による疼痛との併存や炎症反応の低さが診断の遅れとなる可能性があるため,注意が必要と思われる.
ISSN:0037-1033
1349-4333
DOI:10.5035/nishiseisai.72.565