小児橈骨頭骨折に上腕筋裂離骨折を合併した1例
【はじめに】上腕筋裂離骨折は小児でみられる稀な骨折であり,単純X線だけでは骨折を見逃すことがある.【症例】7歳男児.雲梯から転落し,右肘関節痛のため当科を受診した.単純X線,CTにて橈骨頭骨折及び尺骨近位前方に小骨片を認めた.筋・靭帯の3D-CTやMRIから上腕筋裂離骨折と診断した.保存加療を行い,受傷4週から関節可動域訓練を開始した.最終調査時,CTで一部骨癒合が得られており,疼痛及び可動域制限がないことから臨床経過は良好である.【考察】小児上腕筋裂離骨折は渉猟し得た限り海外から2例と稀な外傷で本邦での報告例はない.上腕筋は肘関節の屈筋群の一つであり,複数の筋頭を有する.本症例は画像検査から...
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Published in | 整形外科と災害外科 Vol. 73; no. 2; pp. 233 - 236 |
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Main Authors | , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
西日本整形・災害外科学会
25.03.2024
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Subjects | |
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ISSN | 0037-1033 1349-4333 |
DOI | 10.5035/nishiseisai.73.233 |
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Summary: | 【はじめに】上腕筋裂離骨折は小児でみられる稀な骨折であり,単純X線だけでは骨折を見逃すことがある.【症例】7歳男児.雲梯から転落し,右肘関節痛のため当科を受診した.単純X線,CTにて橈骨頭骨折及び尺骨近位前方に小骨片を認めた.筋・靭帯の3D-CTやMRIから上腕筋裂離骨折と診断した.保存加療を行い,受傷4週から関節可動域訓練を開始した.最終調査時,CTで一部骨癒合が得られており,疼痛及び可動域制限がないことから臨床経過は良好である.【考察】小児上腕筋裂離骨折は渉猟し得た限り海外から2例と稀な外傷で本邦での報告例はない.上腕筋は肘関節の屈筋群の一つであり,複数の筋頭を有する.本症例は画像検査から,上腕筋深頭の骨膜裂離骨折と判断し,肘関節の外反・過伸展が受傷機転と考えられた.過去の報告2例は保存加療で成績は良好であり,その診断が重要とされる.本診断にはCT,MRIが有用である. |
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ISSN: | 0037-1033 1349-4333 |
DOI: | 10.5035/nishiseisai.73.233 |