吸収性アンカーを用いた鏡視下腱板修復術後に異物反応性関節炎をきたした1例

60歳,女性.腱板断裂に対して,吸収性アンカーを用いた鏡視下腱板修復術(スーチャーブリッジ法)を施行した.術後3カ月頃より右肩痛と挙上困難が出現し,血液検査で炎症反応の上昇とMRIで肩峰下滑液包の液体貯留を認め,術後6カ月のMRIではさらに液体貯留と再断裂所見が確認されたため再手術を施行した.関節鏡所見では肩峰下滑液包内の著明な滑膜増殖,再断裂および内側の吸収性アンカー刺入部に骨軟骨破壊を認めた.滑膜切除を行い,内側の吸収性アンカーを摘出し外側アンカーはそのままとした.病理組織学的検査では滑膜に異物巨細胞を含む組織球の集簇と肉芽変化を認めたが,関節液・滑膜の細菌培養は陰性であった.アンカーの分...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 67; no. 3; pp. 561 - 563
Main Authors 杉山, 卓郎, 光井, 康博, 後藤, 昌史, 本多, 弘一, 志波, 直人
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 25.09.2018
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ISSN0037-1033
1349-4333
DOI10.5035/nishiseisai.67.561

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Summary:60歳,女性.腱板断裂に対して,吸収性アンカーを用いた鏡視下腱板修復術(スーチャーブリッジ法)を施行した.術後3カ月頃より右肩痛と挙上困難が出現し,血液検査で炎症反応の上昇とMRIで肩峰下滑液包の液体貯留を認め,術後6カ月のMRIではさらに液体貯留と再断裂所見が確認されたため再手術を施行した.関節鏡所見では肩峰下滑液包内の著明な滑膜増殖,再断裂および内側の吸収性アンカー刺入部に骨軟骨破壊を認めた.滑膜切除を行い,内側の吸収性アンカーを摘出し外側アンカーはそのままとした.病理組織学的検査では滑膜に異物巨細胞を含む組織球の集簇と肉芽変化を認めたが,関節液・滑膜の細菌培養は陰性であった.アンカーの分解時期と発症時期が一致したことから異物反応性関節炎と考えられた.
ISSN:0037-1033
1349-4333
DOI:10.5035/nishiseisai.67.561