多発肝細胞癌に対するLenvatinibの治療継続に肝切除と血中濃度測定が有用であった一例

症例は慢性C型肝炎に罹患し飲酒習慣もある60歳代男性で,原発性肝細胞癌の一部に破裂予防の肝動脈塞栓術施行後,lenvatinib 8 mg/日を開始した.約1カ月で腫瘍に感染し,抗生剤治療不応かつ経皮的ドレナージ困難にて,lenvatinibを一週間休薬し,開腹下感染腫瘍切除術を施行した.術後創部治癒に問題なく,lenvatinibを4 mg/日で再開したが,肝障害,倦怠感,食思不振で35日間休薬した.dexamethasone併用して再開し,8 mg/日まで増量したが動脈血流減少せず,lenvatinib血中濃度が低値であった.12 mg/日に増量後,有害事象に血中濃度は上昇し,動脈血流も低...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in肝臓 Vol. 62; no. 2; pp. 80 - 88
Main Authors 若杉, 吉宣, 谷, 眞至, 飯田, 洋也, 寺田, 智祐, 藤本, 剛英, 野田, 哲史, 安藤, 朗, 大﨑, 理英
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 01.02.2021
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.62.80

Cover

More Information
Summary:症例は慢性C型肝炎に罹患し飲酒習慣もある60歳代男性で,原発性肝細胞癌の一部に破裂予防の肝動脈塞栓術施行後,lenvatinib 8 mg/日を開始した.約1カ月で腫瘍に感染し,抗生剤治療不応かつ経皮的ドレナージ困難にて,lenvatinibを一週間休薬し,開腹下感染腫瘍切除術を施行した.術後創部治癒に問題なく,lenvatinibを4 mg/日で再開したが,肝障害,倦怠感,食思不振で35日間休薬した.dexamethasone併用して再開し,8 mg/日まで増量したが動脈血流減少せず,lenvatinib血中濃度が低値であった.12 mg/日に増量後,有害事象に血中濃度は上昇し,動脈血流も低下した.腫瘍感染の治療困難例は耐術能が許せば,lenvatinibの適切な休薬で外科的治療も選択でき,また,lenvatinib血中濃度による投与量の調整は有効な可能性がある.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.62.80