小児橈骨遠位端骨折後の偽関節

小児の前腕骨骨折後の偽関節は稀であるが,起こりうる合併症である.症例:6歳,女児,転倒し受傷した.左前腕尺側にピンホール状の開放創を認め,画像上は橈尺骨遠位端骨折を認めた.同日ピンニングを行い術後6週はギブス固定を施行した.術後10週の時点でも骨折部の癒合はなく,周囲の骨硬化像が目立ってきたため,造影MRIを施行したところ骨折部を主体とした浮腫性変化や異常増強効果が目立ち感染が疑われた.感染による偽関節と判断し,術後15週で感染部の掻爬と創外固定を施行した.8週で骨癒合を確認し創外固定を抜去した.受傷10ヶ月後の時点で,握力に左右差はあるものの可動域に左右差はなく経過している.今回初回の不十分...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 72; no. 2; pp. 218 - 220
Main Authors 川野, 啓介, 木戸, 義隆, 石原, 和明, 高橋, 巧, 栗原, 典近, 小薗, 敬洋
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 25.03.2023
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ISSN0037-1033
1349-4333
DOI10.5035/nishiseisai.72.218

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Summary:小児の前腕骨骨折後の偽関節は稀であるが,起こりうる合併症である.症例:6歳,女児,転倒し受傷した.左前腕尺側にピンホール状の開放創を認め,画像上は橈尺骨遠位端骨折を認めた.同日ピンニングを行い術後6週はギブス固定を施行した.術後10週の時点でも骨折部の癒合はなく,周囲の骨硬化像が目立ってきたため,造影MRIを施行したところ骨折部を主体とした浮腫性変化や異常増強効果が目立ち感染が疑われた.感染による偽関節と判断し,術後15週で感染部の掻爬と創外固定を施行した.8週で骨癒合を確認し創外固定を抜去した.受傷10ヶ月後の時点で,握力に左右差はあるものの可動域に左右差はなく経過している.今回初回の不十分な固定,開放骨折,感染及び観血的整復術が誘因となって偽関節を生じた.治療は成人に準じて感染部の掻爬および強固な固定となるが本症例において創外固定は有用であった.
ISSN:0037-1033
1349-4333
DOI:10.5035/nishiseisai.72.218