小児の環指基節骨変形癒合に対して矯正骨切り術を施行した1例

【はじめに】小児の環指基節骨変形治癒に対して矯正骨切り術を行った1例を経験したので報告する.【症例】10歳,男児.川で遊んでいる際に転倒して受傷した.前医で環指基節骨骨折の診断で保存的加療が行われたが,環指が中指にオーバーラップする事に気がつき受傷後3カ月で当院へ紹介となった.XPで右環指基節骨の変形癒合部に15°の角状変形を認めた.経過観察を行うも自家矯正は認められず,受傷後10カ月で手術を行った.術後3年5カ月の最終観察時にグリップ位でのオーバーラップは消失し機能的な障害は認めておらず患者は満足している.【考察】本邦では手指骨変形の矯正骨切りにおいて骨切りを行う位置や骨切り方法,内固定材の...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 71; no. 4; pp. 647 - 650
Main Authors 大串, 美紗子, 重田, 幸一, 市川, 賢, 尾上, 英俊, 深川, 遼, 中村, 厚彦, 秀島, 義章, 稲光, 秀明
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 25.09.2022
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ISSN0037-1033
1349-4333
DOI10.5035/nishiseisai.71.647

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Summary:【はじめに】小児の環指基節骨変形治癒に対して矯正骨切り術を行った1例を経験したので報告する.【症例】10歳,男児.川で遊んでいる際に転倒して受傷した.前医で環指基節骨骨折の診断で保存的加療が行われたが,環指が中指にオーバーラップする事に気がつき受傷後3カ月で当院へ紹介となった.XPで右環指基節骨の変形癒合部に15°の角状変形を認めた.経過観察を行うも自家矯正は認められず,受傷後10カ月で手術を行った.術後3年5カ月の最終観察時にグリップ位でのオーバーラップは消失し機能的な障害は認めておらず患者は満足している.【考察】本邦では手指骨変形の矯正骨切りにおいて骨切りを行う位置や骨切り方法,内固定材の選択を論じる文献は数多く散見される.しかし術前の骨切り計画を術中に再現する方法を論じる文献は少ない.二次元上での作図は正確に作成することができるが,実際の手術の場面で小児の小さな骨でこれを正確に再現することは困難である.隣接指を矯正のためのガイドとして用いる骨切りは比較的容易な手技で臨床上の障害を取り除くことができる有用な方法であった.
ISSN:0037-1033
1349-4333
DOI:10.5035/nishiseisai.71.647