原発性免疫不全症候群に関する調査研究
「原発性免疫不全症候群は, 免疫系の欠陥を主病変とする先天性あるいは遺伝性の疾患群である. 近年, 主な原発性免疫不全症候群の責任遺伝子が相次いで発見され, 疾患の理解が深まるとともに, 正確な診断が可能となった. このような状況のもとで, 「原発性免疫不全症候群調査研究班」(厚生労働省)では, より信憑性の高い疫学調査, 新たな責任遺伝子の解明, 責任遺伝子の診断的応用, さらに治療成績やQOLの改善を目指した調査研究を推進している. ここでは本研究班の研究成果の一端を紹介しながら, 原発性免疫不全症候群に関する最近の話題にふれてみたい. 責任遺伝子の解明:X連鎖高IgM症候群は, B細胞の...
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Published in | 日本臨床免疫学会会誌 Vol. 25; no. 1; p. 46 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床免疫学会
2002
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Online Access | Get full text |
ISSN | 0911-4300 1349-7413 |
DOI | 10.2177/jsci.25.46 |
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Summary: | 「原発性免疫不全症候群は, 免疫系の欠陥を主病変とする先天性あるいは遺伝性の疾患群である. 近年, 主な原発性免疫不全症候群の責任遺伝子が相次いで発見され, 疾患の理解が深まるとともに, 正確な診断が可能となった. このような状況のもとで, 「原発性免疫不全症候群調査研究班」(厚生労働省)では, より信憑性の高い疫学調査, 新たな責任遺伝子の解明, 責任遺伝子の診断的応用, さらに治療成績やQOLの改善を目指した調査研究を推進している. ここでは本研究班の研究成果の一端を紹介しながら, 原発性免疫不全症候群に関する最近の話題にふれてみたい. 責任遺伝子の解明:X連鎖高IgM症候群は, B細胞の活性化に重要なCD40分子を刺激するCD40リガンド(CD154)の遺伝子異常である. 高IgM症候群の中に, CD40リガンドが正常である病型が知られていたが, その責任遺伝子が免疫グロブリンクラススイッチに関与するactivation-induced cytidine deaminase(AID)であることが判明し(本庶ら), 高IgM症候群II型として整理された. |
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ISSN: | 0911-4300 1349-7413 |
DOI: | 10.2177/jsci.25.46 |