遺残原始舌下神経動脈に合併した内頸動脈および脳底動脈─後大脳動脈塞栓症に対し急性期血行再建術を施行した1 例

要旨:遺残原始舌下神経動脈(PPHA)は,胎生期に一時的に出現する内頸動脈─椎骨脳底動脈間吻合路の遺残血管の一つである.PPHA に関連した急性期脳梗塞では,その血管異常の存在を考慮した上での治療戦略が必要となる.今回,PPHA の存在による内頸動脈(ICA),脳底動脈(BA),後大脳動脈(PCA)の同時塞栓性閉塞に対し急性期血行再建術を施行し良好な転帰を得た稀な症例を経験したので報告する.症例は35 歳,男性.突然の意識障害および四肢麻痺で当院に搬入され入院時心房粗動が認められた.造影CT にて右ICA/BA/左PCA 閉塞と診断し,発症から3 時間後,rt-PA 静注療法を施行した.造影C...

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Published in脳卒中 Vol. 41; no. 6; pp. 493 - 498
Main Authors 橋本, 彩, 廣畑, 優, 宮原, 孝寛, 土井, 亮, 折戸, 公彦, 竹内, 靖治, 野口, 慶, 馬場, 裕子, 梶原, 壮翔, 森岡, 基浩
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中学会 2019
日本脳卒中学会
Subjects
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ISSN0912-0726
1883-1923
DOI10.3995/jstroke.10672

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Summary:要旨:遺残原始舌下神経動脈(PPHA)は,胎生期に一時的に出現する内頸動脈─椎骨脳底動脈間吻合路の遺残血管の一つである.PPHA に関連した急性期脳梗塞では,その血管異常の存在を考慮した上での治療戦略が必要となる.今回,PPHA の存在による内頸動脈(ICA),脳底動脈(BA),後大脳動脈(PCA)の同時塞栓性閉塞に対し急性期血行再建術を施行し良好な転帰を得た稀な症例を経験したので報告する.症例は35 歳,男性.突然の意識障害および四肢麻痺で当院に搬入され入院時心房粗動が認められた.造影CT にて右ICA/BA/左PCA 閉塞と診断し,発症から3 時間後,rt-PA 静注療法を施行した.造影CT を詳細に観察すると,右PPHA が存在し閉塞動脈が全て関連することが明らかになった.rt-PA 投与後に症状の改善はなく,急性期血行再建術を施行しTICI grade 3 の再開通を得た.術後に神経症状は改善し転院となった.
ISSN:0912-0726
1883-1923
DOI:10.3995/jstroke.10672