難治性吃逆で発症し視神経脊髄炎スペクトラム障害と鑑別を要した頭蓋頸椎移行部硬膜動静脈瘻の1例

要旨:69歳男性.入院10日前に難治性吃逆を発症し,その後,排尿障害と歩行障害が出現した.MRIで最後野を含む延髄病変を認め,異常なflow voidや血管は明らかでなく,視神経脊髄炎スペクトラム障害が疑われた.しかし,3D-CT angiography(CTA)で右椎骨動脈の硬膜貫通部近傍に異常血管を認め,さらに4D-CTAで経時的に異常血行を確認し,頭蓋頸椎移行部硬膜動静脈瘻(CCJDAVF)と診断した.流出路遮断術を行い病変は縮小した.脊髄硬膜動静脈瘻ではステロイドにより病状が悪化する場合があり,MRIで異常血管を認めない場合でもCTAで精査することが重要である.とくに4D-CTAは継時...

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Published in脳卒中 Vol. 43; no. 2; pp. 132 - 136
Main Authors 橋本, 黎, 大塚, 喜久, 米田, 行宏, 塩見, 悠真, 関谷, 博顕, 森本, 貴昭, 山田, 圭介, 影山, 恭史
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中学会 2021
日本脳卒中学会
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Summary:要旨:69歳男性.入院10日前に難治性吃逆を発症し,その後,排尿障害と歩行障害が出現した.MRIで最後野を含む延髄病変を認め,異常なflow voidや血管は明らかでなく,視神経脊髄炎スペクトラム障害が疑われた.しかし,3D-CT angiography(CTA)で右椎骨動脈の硬膜貫通部近傍に異常血管を認め,さらに4D-CTAで経時的に異常血行を確認し,頭蓋頸椎移行部硬膜動静脈瘻(CCJDAVF)と診断した.流出路遮断術を行い病変は縮小した.脊髄硬膜動静脈瘻ではステロイドにより病状が悪化する場合があり,MRIで異常血管を認めない場合でもCTAで精査することが重要である.とくに4D-CTAは継時的に血行動態を評価できることからCCJDAVFの診断に有用である.
ISSN:0912-0726
1883-1923
DOI:10.3995/jstroke.10792