難聴高齢者における音韻修復機能について
要旨: 音韻修復機能とは, 雑音によって聞き取りにくくなった音声情報の歪みを, 脳で補完しながら聞き取る機能 (phonemic restoration) である。 本研究では, 健聴若年者, 健聴高齢者, 難聴高齢者を対象として, 語音聴取閾値検査 HINT-J (Hearing in noise test 日本語版) の原文をもとに加工・編集し, 文をそのまま聴取する原文聴取条件, 無音区間を挿入する条件, 無音区間に雑音を SN 比0, -5, -10 dB の3段階で挿入する条件の計5条件の文を聴取させ, 年齢と難聴の影響から比較検討を行った。 その結果, 高齢者では, 無音区間挿入に...
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Published in | AUDIOLOGY JAPAN Vol. 59; no. 6; pp. 623 - 631 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本聴覚医学会
28.12.2016
日本聴覚医学会 |
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Summary: | 要旨: 音韻修復機能とは, 雑音によって聞き取りにくくなった音声情報の歪みを, 脳で補完しながら聞き取る機能 (phonemic restoration) である。 本研究では, 健聴若年者, 健聴高齢者, 難聴高齢者を対象として, 語音聴取閾値検査 HINT-J (Hearing in noise test 日本語版) の原文をもとに加工・編集し, 文をそのまま聴取する原文聴取条件, 無音区間を挿入する条件, 無音区間に雑音を SN 比0, -5, -10 dB の3段階で挿入する条件の計5条件の文を聴取させ, 年齢と難聴の影響から比較検討を行った。 その結果, 高齢者では, 無音区間挿入により正答率の低下がみられ, 健聴高齢者に比し難聴高齢者において有意に低下していた。 挿入雑音による音韻修復効果については, 全ての対象者でいずれかの雑音挿入条件でみられ, 対象群ごとにみると挿入雑音が大きいほど有意に正答率が向上した。 これらの音韻修復効果と難聴者個々の聴力, 語音明瞭度など背景要因とは明らかな関連がみられず, 高齢者の難聴要因が複合的であることが影響していると考えられた。 |
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ISSN: | 0303-8106 1883-7301 |
DOI: | 10.4295/audiology.59.623 |