詳細な画像診断が治療戦略を決定するうえで有用であった破裂血豆状内頸動脈瘤の1 例

38 歳女性.頭痛発症のくも膜下出血で受診した.急性期に動脈瘤を認めず,第14 病日の血管撮影で右内頸動脈にわずかな隆起性変化を認め,血豆状内頸動脈瘤が疑われた.MRI CISS 画像とCTA のMPR 画像を比較したところ,拡張部の前後に偽腔が広がり,近位側は眼動脈分岐部の内頸動脈後壁に及んでいると推測された.バルーン閉塞試験にて内頸動脈の遮断耐性は認められたが,眼窩内の血管が全く描出されなかったため,眼動脈を含む内頸動脈病変に対するtrapping は視力障害のリスクが非常に高いと考えられた.治療戦略をステント支援下コイル塞栓術とし,眼動脈を温存した.術後,視力障害を含めた神経症状はなく,...

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Published in脳卒中 Vol. 39; no. 1; pp. 24 - 28
Main Authors 宇田, 憲司, 田島, 隼人, 今井, 資, 泉, 孝嗣, 伊藤, 真史, 松原, 功明, 新帯, 一憲, 西堀, 正洋, 若林, 俊彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中学会 2017
日本脳卒中学会
Subjects
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ISSN0912-0726
1883-1923
DOI10.3995/jstroke.10412

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Summary:38 歳女性.頭痛発症のくも膜下出血で受診した.急性期に動脈瘤を認めず,第14 病日の血管撮影で右内頸動脈にわずかな隆起性変化を認め,血豆状内頸動脈瘤が疑われた.MRI CISS 画像とCTA のMPR 画像を比較したところ,拡張部の前後に偽腔が広がり,近位側は眼動脈分岐部の内頸動脈後壁に及んでいると推測された.バルーン閉塞試験にて内頸動脈の遮断耐性は認められたが,眼窩内の血管が全く描出されなかったため,眼動脈を含む内頸動脈病変に対するtrapping は視力障害のリスクが非常に高いと考えられた.治療戦略をステント支援下コイル塞栓術とし,眼動脈を温存した.術後,視力障害を含めた神経症状はなく,動脈瘤の再発もなく経過良好である.本症例では,MRI や血管撮影の詳細な読影を行うことで,治療方針の決定のみならず,合併症リスクも回避することができた.
ISSN:0912-0726
1883-1923
DOI:10.3995/jstroke.10412