中大脳動脈塞栓症に対するt-PA 静脈注射中に反対側中大脳動脈に発生した脳塞栓症の1 例
症例は82 歳の女性.左片麻痺を認め,救急車で搬送受診.頭部CT にて明らかな異常はなく,心電図にて心房細動は認めなかった.NIHSS は18 点.頭部MRI にて,右大脳基底核に梗塞を認めた.MRA にて右中大脳動脈閉塞を認め,発症後3 時間30 分にt-PA 静脈注射を施行.t-PA 投与15 分後に左上下肢麻痺は改善したが,開始後55 分に完全失語,右片麻痺が出現した.MRA にて左中大脳動脈閉塞を認めたため,血管内手術を施行.血栓吸引し,再開通が得られた.CT にて脳出血の合併はなく,右上下肢麻痺も改善を認めた.心エコーにて明らかな心臓内血栓を認めなかったが,心電図にて心房細動を認めた...
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Published in | 脳卒中 Vol. 39; no. 6; pp. 441 - 445 |
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Main Authors | , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本脳卒中学会
2017
日本脳卒中学会 |
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Summary: | 症例は82 歳の女性.左片麻痺を認め,救急車で搬送受診.頭部CT にて明らかな異常はなく,心電図にて心房細動は認めなかった.NIHSS は18 点.頭部MRI にて,右大脳基底核に梗塞を認めた.MRA にて右中大脳動脈閉塞を認め,発症後3 時間30 分にt-PA 静脈注射を施行.t-PA 投与15 分後に左上下肢麻痺は改善したが,開始後55 分に完全失語,右片麻痺が出現した.MRA にて左中大脳動脈閉塞を認めたため,血管内手術を施行.血栓吸引し,再開通が得られた.CT にて脳出血の合併はなく,右上下肢麻痺も改善を認めた.心エコーにて明らかな心臓内血栓を認めなかったが,心電図にて心房細動を認めた.稀に,t-PA 静脈注射後に新たな脳梗塞が発生することが報告されており,いずれも予後不良である.特に心房細動を伴う患者のt-PA 静脈注射の際には脳塞栓再発の可能性も念頭におき,血管内治療の準備をしておくべきであると思われた. |
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ISSN: | 0912-0726 1883-1923 |
DOI: | 10.3995/jstroke.10483 |