高齢期の人工内耳装用とリハビリテーションの課題の検討

要旨: 高齢期の人工内耳装用については, 高齢に伴う身体的変化などから, 高齢期特有の課題を有していると推察される。我々は, 高齢期人工内耳装用の実態と課題を明らかにするため, リハビリテーションを担当する言語聴覚士 (ST) に実態調査を行ったので報告する。対象は, 全国の人工内耳手術施設に所属する ST103名で, 郵送による質問紙調査を実施した。その結果, 32名より回答を得た。高齢者の特徴として, プログラミングにおける音質の評価と T レベルの測定, さらに操作, 装用では, プログラムの調節, 音量調整が困難であり, トラブル対応ではケーブル交換に課題を有していた。それらの課題は,...

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Published inAUDIOLOGY JAPAN Vol. 62; no. 3; pp. 248 - 256
Main Authors 今川, 記恵, 廣田, 栄子, 小島, 博己
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本聴覚医学会 30.06.2019
日本聴覚医学会
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Summary:要旨: 高齢期の人工内耳装用については, 高齢に伴う身体的変化などから, 高齢期特有の課題を有していると推察される。我々は, 高齢期人工内耳装用の実態と課題を明らかにするため, リハビリテーションを担当する言語聴覚士 (ST) に実態調査を行ったので報告する。対象は, 全国の人工内耳手術施設に所属する ST103名で, 郵送による質問紙調査を実施した。その結果, 32名より回答を得た。高齢者の特徴として, プログラミングにおける音質の評価と T レベルの測定, さらに操作, 装用では, プログラムの調節, 音量調整が困難であり, トラブル対応ではケーブル交換に課題を有していた。それらの課題は, 前期高齢者より後期高齢者でより困難と評価していた。個別状況の配慮については, 個別支援や家族や施設職員との連携体制を特に強化していた。80歳以上の高齢者では, 通院継続の困難さに課題も示され, よりきめ細かい支援の必要性が指摘された。
ISSN:0303-8106
1883-7301
DOI:10.4295/audiology.62.248