反回神経損傷後の疑核における塩基性線維芽細胞増殖因子の発現

「はじめに」近年, 神経損傷時に種々の神経栄養因子が神経損傷部のみならず神経核においても発現することが明らかにされ, 神経再生過程における神経栄養因子の関与が注目されている1)2). われわれは神経栄養因子が反回神経脱神経後の神経再生に及ぼす効果について, 神経成長因子(nerve growth factor), 毛様体神経栄養因子(ciliary neurotrophic factor), 塩基性線維芽細胞増殖因子(basic fibroblast growth factor, 以下bFGF)を反回神経切断肋間に局所投与することにより検討した. その結果, これら3種類の神経栄養因子の中では...

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Published in喉頭 Vol. 12; no. 1; pp. 17 - 21
Main Authors 小森, 正博, 兵頭, 政光, 讃岐, 徹治, 河北, 誠二, 湯本, 英二, 本吉, 和美
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本喉頭科学会 2000
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ISSN0915-6127
2185-4696
DOI10.5426/larynx1989.12.1_17

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Summary:「はじめに」近年, 神経損傷時に種々の神経栄養因子が神経損傷部のみならず神経核においても発現することが明らかにされ, 神経再生過程における神経栄養因子の関与が注目されている1)2). われわれは神経栄養因子が反回神経脱神経後の神経再生に及ぼす効果について, 神経成長因子(nerve growth factor), 毛様体神経栄養因子(ciliary neurotrophic factor), 塩基性線維芽細胞増殖因子(basic fibroblast growth factor, 以下bFGF)を反回神経切断肋間に局所投与することにより検討した. その結果, これら3種類の神経栄養因子の中ではbFGFが神経再生に最も促進的に作用することを報告した3). しかしこの研究は神経栄養因子の作用効果を反回神経損傷部で検討したものであり, 神経再生過程において重要な要因の一つである神経核, すなわち疑核の機能維持に対する神経栄養因子の効果は未だ明らかになっていない. そこで今回, 神経切断部で反回神経再生に最も促進的に作用したbFGFの, 反回神経脱神経後の疑核神経細胞における発現様式を免疫組織学的に検討した. その結果とbFGF発現の意義について考察を加えて報告する.
ISSN:0915-6127
2185-4696
DOI:10.5426/larynx1989.12.1_17