四肢すべてに波及した重症軟部組織感染症の1例
症例は57歳の男性で,特記すべき既往歴はない.受診10日前より誘因なく腰痛を認め,以後両手背部の腫脹,疼痛が出現した.症状の増悪と発熱,歩行困難のため,前医より壊死性筋膜炎の疑いで当院に救急搬送された.初診時,両前腕から手背に水疱形成を認め,特に右手部は軟部組織の腫脹,変色が急激に進行した.また,右膝関節痛と腫脹を認め,四肢壊死性筋膜炎,toxic shock-like syndrome,敗血症性ショック,右膝化膿性膝関節炎の診断で抗菌薬の投与,複数回の洗浄・デブリドマン,NPWTを行い,感染の沈静化後,両上肢の軟部組織欠損に対し,腹壁有茎皮弁,遊離広背筋皮弁術にて軟組織再建を行なった.経過中...
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Published in | 整形外科と災害外科 Vol. 66; no. 1; pp. 1 - 4 |
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Main Authors | , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
西日本整形・災害外科学会
2017
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Subjects | |
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ISSN | 0037-1033 1349-4333 |
DOI | 10.5035/nishiseisai.66.1 |
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Summary: | 症例は57歳の男性で,特記すべき既往歴はない.受診10日前より誘因なく腰痛を認め,以後両手背部の腫脹,疼痛が出現した.症状の増悪と発熱,歩行困難のため,前医より壊死性筋膜炎の疑いで当院に救急搬送された.初診時,両前腕から手背に水疱形成を認め,特に右手部は軟部組織の腫脹,変色が急激に進行した.また,右膝関節痛と腫脹を認め,四肢壊死性筋膜炎,toxic shock-like syndrome,敗血症性ショック,右膝化膿性膝関節炎の診断で抗菌薬の投与,複数回の洗浄・デブリドマン,NPWTを行い,感染の沈静化後,両上肢の軟部組織欠損に対し,腹壁有茎皮弁,遊離広背筋皮弁術にて軟組織再建を行なった.経過中致死的な合併症を併発したが,他科との連携により救命し,機能肢を目標にリハビリテーションを継続中である.壊死性筋膜炎は急速に進行し,診断,治療の遅れが四肢切断や死亡に至る重篤な感染症であり,稀な病態である.四肢すべてに波及した重症軟部組織感染症(化膿性関節炎・壊死性筋膜炎)を救命・救肢し得た. |
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ISSN: | 0037-1033 1349-4333 |
DOI: | 10.5035/nishiseisai.66.1 |