人工内耳装用児の聴覚補償と WISC-IV の関係

要旨: 早期に人工内耳を装用することが高度難聴児の言語・学習能力に有効であることは諸家によって報告されているが, 人工内耳装用下での聴覚補償の状態と言語・学習能力との関係を検討したものは少ない。そこで人工内耳装用児に WISC-IV 知能検査を実施し, その結果と聴取成績の関係を検討した。対象は当科で経過観察中の人工内耳装用児のうち12名。聴取成績は装用閾値, 語音検査, 雑音下での聴取能検査で評価した。全般的知能 (FSIQ) と装用開始月齢の間に有意な相関はなく, FSIQ が平均の範囲 (FSIQ : 90-109) から外れたのは12名中 6 名であった。そのうち 3 名は言語理解指標...

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Published inAUDIOLOGY JAPAN Vol. 60; no. 3; pp. 177 - 183
Main Authors 硲田, 猛真, 宝上, 竜也, 久々江, 隆行, 中原, 啓, 河野, 淳, 間, 三千夫, 佐々木, 美奈
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本聴覚医学会 30.06.2017
日本聴覚医学会
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ISSN0303-8106
1883-7301
DOI10.4295/audiology.60.177

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Summary:要旨: 早期に人工内耳を装用することが高度難聴児の言語・学習能力に有効であることは諸家によって報告されているが, 人工内耳装用下での聴覚補償の状態と言語・学習能力との関係を検討したものは少ない。そこで人工内耳装用児に WISC-IV 知能検査を実施し, その結果と聴取成績の関係を検討した。対象は当科で経過観察中の人工内耳装用児のうち12名。聴取成績は装用閾値, 語音検査, 雑音下での聴取能検査で評価した。全般的知能 (FSIQ) と装用開始月齢の間に有意な相関はなく, FSIQ が平均の範囲 (FSIQ : 90-109) から外れたのは12名中 6 名であった。そのうち 3 名は言語理解指標 (VCI) と知覚推理指標 (PRI) の成績に有意差がみられた。VCI が PRI より有意に低かった 2 名は FSIQ も平均の範囲を下回っていた。この 2 名は聴覚補償の状態が不良であり, 聴覚補償の状態が知能検査の結果に大きな影響を与えていることが示唆された。
ISSN:0303-8106
1883-7301
DOI:10.4295/audiology.60.177