音の強弱波形とのコヒーレンス関数を用いた聴性誘発反応の評価

要旨: 一連の音楽や音声に対する聴性誘発反応を評価する手法を提案する。本手法は, 加算平均法のように波形抽出するのではなく, 音と計測波形との相関性を評価するもので, 音の強弱波形 (エンベロープ) と計測波形とのコヒーレンス関数を用いる。この関数は0に近いほど両者は相関性が低く, 1に近づくほど相関性が高くなることを意味する。確認実験として音楽を聴いている時の脳磁図を計測した。その結果, 提示した音に対するコヒーレンス値が増加することが確かめられた。本手法の応用として“カクテルパーティー効果”の検討を行った。その結果, 注意している音に対するコヒーレンス値の増加が見られ, 注意によって聴性誘...

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Published inAUDIOLOGY JAPAN Vol. 56; no. 4; pp. 276 - 282
Main Authors 樋口, 正法, 鈴鹿, 有子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本聴覚医学会 30.08.2013
日本聴覚医学会
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ISSN0303-8106
1883-7301
DOI10.4295/audiology.56.276

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Summary:要旨: 一連の音楽や音声に対する聴性誘発反応を評価する手法を提案する。本手法は, 加算平均法のように波形抽出するのではなく, 音と計測波形との相関性を評価するもので, 音の強弱波形 (エンベロープ) と計測波形とのコヒーレンス関数を用いる。この関数は0に近いほど両者は相関性が低く, 1に近づくほど相関性が高くなることを意味する。確認実験として音楽を聴いている時の脳磁図を計測した。その結果, 提示した音に対するコヒーレンス値が増加することが確かめられた。本手法の応用として“カクテルパーティー効果”の検討を行った。その結果, 注意している音に対するコヒーレンス値の増加が見られ, 注意によって聴性誘発反応が変化することが確認された。本方法は聴覚の高次機能の解明に有用であることが示された。
ISSN:0303-8106
1883-7301
DOI:10.4295/audiology.56.276