手術しなかった大腿骨近位部骨折症例の理由と転帰

【はじめに】海外では大腿骨近位部骨折はHip attackと称され緊急手術の対象となっている.しかし併存病のため手術不能な症例や家族が手術を希望しない症例も散見される.【目的】手術適応であるにも関わらず手術しなかった症例の原因とその転帰を明らかにする.【対象】2012年から2016年の5年間,65歳以上の大腿骨近位部骨折患者777例中,手術適応にも関わらず手術しなかった症例30例(3.9%)を対象とした.平均年齢:87.3歳(72-101歳),男性9例,女性21例,頚部骨折18例,転子部骨折:11例,転子下骨折1例であった.【結果】併存病のため手術不能:20例,受傷前歩行不能:6例,手術希望:...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 67; no. 4; pp. 697 - 699
Main Authors 松尾, 卓見, 荒川, 大亮, 徳田, 昂太郎, 戸羽, 直樹, 原, 夏樹, 飯山, 俊成, 坪根, 徹, 福田, 文雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 25.09.2018
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ISSN0037-1033
1349-4333
DOI10.5035/nishiseisai.67.697

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Summary:【はじめに】海外では大腿骨近位部骨折はHip attackと称され緊急手術の対象となっている.しかし併存病のため手術不能な症例や家族が手術を希望しない症例も散見される.【目的】手術適応であるにも関わらず手術しなかった症例の原因とその転帰を明らかにする.【対象】2012年から2016年の5年間,65歳以上の大腿骨近位部骨折患者777例中,手術適応にも関わらず手術しなかった症例30例(3.9%)を対象とした.平均年齢:87.3歳(72-101歳),男性9例,女性21例,頚部骨折18例,転子部骨折:11例,転子下骨折1例であった.【結果】併存病のため手術不能:20例,受傷前歩行不能:6例,手術希望:4例であった.併存病(主病名)として,循環器疾患:18例(心不全:8例,弁膜症:4例,大動脈瘤:4例,虚血性心疾患:2例),肺炎:2例であった.退院の転帰は併存病群4例/20例(20%)は死亡退院,非併存病群は全例転院もしくは退院していた.1年後死亡率は併存病群8例/20例(40%),非併存病群1例/10例(10%)であった.
ISSN:0037-1033
1349-4333
DOI:10.5035/nishiseisai.67.697