パクリタキセル,シスプラチン投与直後のワルファリンカリウムの抗血液凝固作用の増強
「緒言」抗血液凝固作用を有するワルファリンカリウム(Wf)は静脈血栓症などのさまざまな疾患に汎用されており, 効果をあげている1,2). また近年高齢化に伴い, 合併症を有する患者も増えてきており, Wfを服用しながらがん化学療法を実施している症例も認められている. Wfは種々の薬物と相互作用を有しており3), 場合によってはinternational normalized ratio(以下, INRと略す)の上昇や出血傾向を発現する危険性がある薬剤であり4,5), 併用薬や他院における処方薬にも注意が必要である. 今回, Wf服用中の患者に, 添付文書にWfとの相互作用の記載がないが抗がん剤...
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Published in | 医療薬学 Vol. 35; no. 11; pp. 778 - 781 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人日本医療薬学会
2009
日本医療薬学会 |
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Summary: | 「緒言」抗血液凝固作用を有するワルファリンカリウム(Wf)は静脈血栓症などのさまざまな疾患に汎用されており, 効果をあげている1,2). また近年高齢化に伴い, 合併症を有する患者も増えてきており, Wfを服用しながらがん化学療法を実施している症例も認められている. Wfは種々の薬物と相互作用を有しており3), 場合によってはinternational normalized ratio(以下, INRと略す)の上昇や出血傾向を発現する危険性がある薬剤であり4,5), 併用薬や他院における処方薬にも注意が必要である. 今回, Wf服用中の患者に, 添付文書にWfとの相互作用の記載がないが抗がん剤によるがん化学療法を行った際に, INRの上昇が認められ, Wfの減量を余儀なくされ, その後INRの低下に伴い, Wfの増量が必要であった症例を経験したので報告する. 「方法」「1. 症例」症例は60歳女性, 静脈血栓症にてWfを服用開始後, 子宮体がんに対して術後にドキソルビシン(以下, DOXと略す), パクリタキセル(以下, PTXと略す), シスプラチン(以下, CDDPと略す)によるがん化学療法が施行された. |
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ISSN: | 1346-342X 1882-1499 |
DOI: | 10.5649/jjphcs.35.778 |