前多血期に主幹動脈閉塞を伴う脳梗塞を発症し,数年後にcrescendo TIAを呈したJAK2V617F 変異遺伝子陽性真性多血症の1 例

症例は65 歳女性.58 歳時に頭蓋内主幹動脈狭窄を伴う脳梗塞を発症しシロスタゾールが開始された.62 歳時に初回とは対側に脳梗塞が再発し,クロピドグレル,アスピリンへ変更となった.65 歳1 月時にJAK2V617F 変異遺伝子が確認されたが,血球数増多が軽度のため真性多血症の診断には至らなかった.同年6 月にクロピドグレル単剤へ減量,その約2 カ月後に一過性喚語困難,呂律障害を繰り返し,crescendo TIA の診断で入院となった.入院後に真性多血症の診断となり,瀉血療法,シロスタゾール,ハイドロキシウレアの内服追加後に症状は消失した.真性多血症は脳梗塞のリスクとして知られているが,発...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in脳卒中 Vol. 40; no. 1; pp. 24 - 28
Main Authors 原, 大祐, 清水, 高弘, 白石, 眞, 鈴木, 祐, 星野, 俊, 貫井, 咲希, 伊佐早, 健司, 長谷川, 泰弘
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中学会 2018
日本脳卒中学会
Subjects
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:症例は65 歳女性.58 歳時に頭蓋内主幹動脈狭窄を伴う脳梗塞を発症しシロスタゾールが開始された.62 歳時に初回とは対側に脳梗塞が再発し,クロピドグレル,アスピリンへ変更となった.65 歳1 月時にJAK2V617F 変異遺伝子が確認されたが,血球数増多が軽度のため真性多血症の診断には至らなかった.同年6 月にクロピドグレル単剤へ減量,その約2 カ月後に一過性喚語困難,呂律障害を繰り返し,crescendo TIA の診断で入院となった.入院後に真性多血症の診断となり,瀉血療法,シロスタゾール,ハイドロキシウレアの内服追加後に症状は消失した.真性多血症は脳梗塞のリスクとして知られているが,発症メカニズムは不明な点が多い.本症例は血球数増多を来す以前から頭蓋内主幹動脈狭窄を伴う脳梗塞を繰り返しており,JAK2V617F 変異遺伝子の関与が推定され,文献的考察を含めて報告する.
ISSN:0912-0726
1883-1923
DOI:10.3995/jstroke.10500