リバーロキサバン内服中に尿閉,尿路感染症による急性腎障害を来し脳出血に至った1例

要旨:リバーロキサバン15 mg/日を内服中の68 歳男性.入院2 日前から尿閉になり,クレアチニン1.25 mg/dl へと腎機能が低下していたがリバーロキサバンが継続された.当院搬送時,発熱,意識障害,左片麻痺があり,CT で脳室穿破を伴う右視床出血を認めた.クレアチニン2.88 mg/dl,推算クレアチニンクリアランス27.9 ml/min であった.CT で右尿管結石と右水腎症があり,左腎は萎縮していた.膿尿もあった.抗菌薬治療で解熱し,結石は自然排石した.クレアチニンは0.94 mg/dlまで改善した.入院16 日目にエドキサバン60 mg/日を開始し,再発なく経過した.本例では腎機...

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Published in脳卒中 Vol. 42; no. 3; pp. 176 - 180
Main Authors 田中, 寛大, 山上, 宏, 園田, 和隆, 古賀, 政利, 片岡, 優子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中学会 2020
日本脳卒中学会
Subjects
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ISSN0912-0726
1883-1923
DOI10.3995/jstroke.10712

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Summary:要旨:リバーロキサバン15 mg/日を内服中の68 歳男性.入院2 日前から尿閉になり,クレアチニン1.25 mg/dl へと腎機能が低下していたがリバーロキサバンが継続された.当院搬送時,発熱,意識障害,左片麻痺があり,CT で脳室穿破を伴う右視床出血を認めた.クレアチニン2.88 mg/dl,推算クレアチニンクリアランス27.9 ml/min であった.CT で右尿管結石と右水腎症があり,左腎は萎縮していた.膿尿もあった.抗菌薬治療で解熱し,結石は自然排石した.クレアチニンは0.94 mg/dlまで改善した.入院16 日目にエドキサバン60 mg/日を開始し,再発なく経過した.本例では腎機能低下でリバーロキサバン血中濃度が上昇し,脳出血に至ったと考えられる.直接作用型経口抗凝固薬(DOAC)内服中に腎機能低下を疑う症候があれば腎機能を頻回に評価し,必要に応じたDOAC の減量や休薬等が非常に重要である.
ISSN:0912-0726
1883-1923
DOI:10.3995/jstroke.10712