尺骨神経刺激症状を有した上腕骨顆上突起の1例

【はじめに】上腕骨顆上突起は上腕骨遠位部に発生する稀な骨性の突起である.今回,尺骨神経刺激症状を呈した上腕骨顆上突起の1例を経験した.【症例】58歳女性.特に誘引なく右肘周囲の疼痛を自覚し初診.上腕骨内側遠位部に圧痛・叩打痛があり,前腕・手指尺側への放散痛を認めた.画像検査にて上腕骨顆上突起と診断した.保存治療を行うも症状改善せず,初診から5ヶ月半後に突起部切除を施行した.突起に付着するStruthers靭帯により尺骨神経が軽度絞扼されており,術後速やかに放散痛は消失した.病理組織所見において軟骨成分は認めなかった.【考察】上腕骨顆上突起は日本人での頻度は0.3%と報告されており,通常は無症状...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 71; no. 2; pp. 190 - 192
Main Authors 山本, 俊策, 蛯原, 宗大, 牟田口, 滋, 二之宮, 謙一, 佐々木, 大, 合志, 光平, 坂本, 悠磨
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 25.03.2022
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ISSN0037-1033
1349-4333
DOI10.5035/nishiseisai.71.190

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Summary:【はじめに】上腕骨顆上突起は上腕骨遠位部に発生する稀な骨性の突起である.今回,尺骨神経刺激症状を呈した上腕骨顆上突起の1例を経験した.【症例】58歳女性.特に誘引なく右肘周囲の疼痛を自覚し初診.上腕骨内側遠位部に圧痛・叩打痛があり,前腕・手指尺側への放散痛を認めた.画像検査にて上腕骨顆上突起と診断した.保存治療を行うも症状改善せず,初診から5ヶ月半後に突起部切除を施行した.突起に付着するStruthers靭帯により尺骨神経が軽度絞扼されており,術後速やかに放散痛は消失した.病理組織所見において軟骨成分は認めなかった.【考察】上腕骨顆上突起は日本人での頻度は0.3%と報告されており,通常は無症状だが,神経血管症状を呈する場合もある.本症例のように保存治療に抵抗性の場合,手術による突起部切除が有効であると考えられた.
ISSN:0037-1033
1349-4333
DOI:10.5035/nishiseisai.71.190