血液凝固第XIII因子濃縮製剤使用後,Galen静脈血栓症が疑われた1例

要旨:血液凝固第XIII 因子(F XIII)濃縮製剤使用後にGalen 静脈血栓症が疑われた1 例を報告する.76 歳女性で,意識障害により救急搬送された.前交通動脈破裂脳動脈瘤によるくも膜下出血と診断し,basal interhemispheric approach によるクリッピング術を施行した.術後4 日目に髄液鼻漏が生じ,F XIII 活性の低下を認めたためF XIII 濃縮製剤を使用した.その後髄液鼻漏は消失し,意識障害も徐々に改善傾向となるも,再度意識障害の悪化を認めた.脳血管撮影検査でGalen 静脈に狭窄所見を認め,脳静脈血栓症による意識障害と診断し,低分子ヘパリンの持続点滴...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in脳卒中 Vol. 42; no. 3; pp. 196 - 202
Main Authors 金森, 史哲, 宇田, 憲司, 荒木, 芳生, 西堀, 正洋, 中野, 瑞生, 横山, 欣也, 泉, 孝嗣, 吉本, 真之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中学会 2020
日本脳卒中学会
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0912-0726
1883-1923
DOI10.3995/jstroke.10720

Cover

More Information
Summary:要旨:血液凝固第XIII 因子(F XIII)濃縮製剤使用後にGalen 静脈血栓症が疑われた1 例を報告する.76 歳女性で,意識障害により救急搬送された.前交通動脈破裂脳動脈瘤によるくも膜下出血と診断し,basal interhemispheric approach によるクリッピング術を施行した.術後4 日目に髄液鼻漏が生じ,F XIII 活性の低下を認めたためF XIII 濃縮製剤を使用した.その後髄液鼻漏は消失し,意識障害も徐々に改善傾向となるも,再度意識障害の悪化を認めた.脳血管撮影検査でGalen 静脈に狭窄所見を認め,脳静脈血栓症による意識障害と診断し,低分子ヘパリンの持続点滴後,エドキサバンの内服を継続した.出血性合併症を認めず,Galen 静脈狭窄の改善と意識障害の改善を認めた.脳静脈血栓症発症とF XIII 濃縮製剤使用の関連性が疑われ,さらに低分子ヘパリンとエドキサバンが有用である可能性が示唆された.
ISSN:0912-0726
1883-1923
DOI:10.3995/jstroke.10720