副鼻腔侵襲性アスペルギルス症の脳血管浸潤による脳梗塞で死亡したと考えられた1 例

要旨:72 歳女性.左眼痛・複視を主訴に受診し,CT で左篩骨洞後部に軟部影を認め,副鼻腔炎の診断で篩骨洞開放術と抗菌薬・ステロイド投与で治療され改善した.その後,症状が再燃し,抗菌薬・ステロイドの投与で改善する経過を繰り返しながら徐々に増悪し,眼窩先端症候群を呈した.ステロイドへの反応性から,多発血管炎性肉芽腫性症を念頭にシクロフォスファミドを導入したが改善せず,さらに脳梗塞を発症した.この時点で血清β-D グルカンと血清・髄液のアスペルギルス抗原の上昇を認め,侵襲性アスペルギルス症と診断したが,次々に脳梗塞が続発し死亡した.経過中に眼窩先端部病変に対し2 回経副鼻腔的生検を行ったがアスペル...

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Published in脳卒中 Vol. 41; no. 6; pp. 515 - 519
Main Authors 安藤, 宏明, 丹羽, 淳一, 泉, 雅之, 中尾, 直樹, 道勇, 学
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中学会 2019
日本脳卒中学会
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Summary:要旨:72 歳女性.左眼痛・複視を主訴に受診し,CT で左篩骨洞後部に軟部影を認め,副鼻腔炎の診断で篩骨洞開放術と抗菌薬・ステロイド投与で治療され改善した.その後,症状が再燃し,抗菌薬・ステロイドの投与で改善する経過を繰り返しながら徐々に増悪し,眼窩先端症候群を呈した.ステロイドへの反応性から,多発血管炎性肉芽腫性症を念頭にシクロフォスファミドを導入したが改善せず,さらに脳梗塞を発症した.この時点で血清β-D グルカンと血清・髄液のアスペルギルス抗原の上昇を認め,侵襲性アスペルギルス症と診断したが,次々に脳梗塞が続発し死亡した.経過中に眼窩先端部病変に対し2 回経副鼻腔的生検を行ったがアスペルギルスは検出されなかった.副鼻腔炎から眼窩先端症候群を呈し侵襲性アスペルギルス症が除外できないときは,ステロイドの投与で一時的な改善を認めたとしても,抗真菌薬投与を開始しながら繰り返し生検を行うなど慎重な対応が肝要である.
ISSN:0912-0726
1883-1923
DOI:10.3995/jstroke.10684