慢性鉄欠乏性貧血による血小板増多症が原因であった上矢状洞閉塞症の1例

要旨:【目的】鉄欠乏性貧血による血小板増多症が原因であった脳静脈洞閉塞症を経験したので報告する.【症例】29歳女性.子宮筋腫による不正出血のため慢性貧血を指摘されていた.突然の左片麻痺が出現.来院時ヘモグロビン濃度4.0 g/dL,血小板数142万/μL.頭部MRIで両側前頭葉に脳腫脹を,脳血管撮影で上矢状洞閉塞を認めた.血栓回収療法により静脈洞閉塞は部分再開通が得られ,症状は徐々に改善した.第26病日に子宮筋腫摘出術を行い貧血が改善.発症後9カ月間で抗凝固療法を終了したが,その後1年以上閉塞症の再発は起こしていない.【結論】高度貧血による血小板増多症は閉塞症の原因となる.血栓回収療法は脳動脈...

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Published in脳卒中 Vol. 42; no. 4; pp. 258 - 263
Main Authors 桝田, 宏輔, 出原, 誠, 萩原, 靖
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中学会 2020
日本脳卒中学会
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Summary:要旨:【目的】鉄欠乏性貧血による血小板増多症が原因であった脳静脈洞閉塞症を経験したので報告する.【症例】29歳女性.子宮筋腫による不正出血のため慢性貧血を指摘されていた.突然の左片麻痺が出現.来院時ヘモグロビン濃度4.0 g/dL,血小板数142万/μL.頭部MRIで両側前頭葉に脳腫脹を,脳血管撮影で上矢状洞閉塞を認めた.血栓回収療法により静脈洞閉塞は部分再開通が得られ,症状は徐々に改善した.第26病日に子宮筋腫摘出術を行い貧血が改善.発症後9カ月間で抗凝固療法を終了したが,その後1年以上閉塞症の再発は起こしていない.【結論】高度貧血による血小板増多症は閉塞症の原因となる.血栓回収療法は脳動脈閉塞のみならず脳静脈洞閉塞に対しても有効な症例がある.
ISSN:0912-0726
1883-1923
DOI:10.3995/jstroke.10713