大動脈原性脳塞栓症を発症し,上行大動脈置換術を施行した80 歳男性例

症例は喫煙歴のある80 歳男性で軽度の右上肢脱力を主訴に入院した.頭部MRI の拡散強調画像で両側大脳皮質に微小高信号が多発し,脳塞栓症と診断しヘパリンを開始した.第4 病日の造影CT で上行大動脈に15 mm の複合粥腫病変を認め,大動脈原性脳塞栓症としてアスピリン,クロピドグレル,アトルバスタチンを開始し,ワルファリンを追加した(PT-INR 1.6~2.6 で管理した).第20 病日の造影CT で粥腫に改善なく,第22 病日に頭部MRI で新規梗塞を認めたため,第24 病日に上行大動脈置換術を施行した.術後はクロピドグレル,アトルバスタチン,ワルファリンを再開.経過良好で第43 病日に退...

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Published in脳卒中 Vol. 39; no. 2; pp. 129 - 134
Main Authors 磯村, 杏耶, 塩川, 芳昭, 平野, 照之, 岡野, 晴子, 傳法, 倫久, 千葉, 厚郎, 遠藤, 英仁, 中島, 昌典, 下山田, 博明, 窪田, 博, 大倉, 康男
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中学会 2017
日本脳卒中学会
Subjects
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ISSN0912-0726
1883-1923
DOI10.3995/jstroke.10418

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Summary:症例は喫煙歴のある80 歳男性で軽度の右上肢脱力を主訴に入院した.頭部MRI の拡散強調画像で両側大脳皮質に微小高信号が多発し,脳塞栓症と診断しヘパリンを開始した.第4 病日の造影CT で上行大動脈に15 mm の複合粥腫病変を認め,大動脈原性脳塞栓症としてアスピリン,クロピドグレル,アトルバスタチンを開始し,ワルファリンを追加した(PT-INR 1.6~2.6 で管理した).第20 病日の造影CT で粥腫に改善なく,第22 病日に頭部MRI で新規梗塞を認めたため,第24 病日に上行大動脈置換術を施行した.術後はクロピドグレル,アトルバスタチン,ワルファリンを再開.経過良好で第43 病日に退院した.術後23 日目・6 カ月の頭部MRI で無症候性の新規梗塞を認めたが,術後7・11 カ月の頭部MRI では新規梗塞を認めなかった.大動脈原性脳塞栓症に対して,薬物療法下に大動脈病変を2 週間評価し,手術の実施を検討すべきと考えた.
ISSN:0912-0726
1883-1923
DOI:10.3995/jstroke.10418