良聴耳聴力レベル 90dBHL 未満の症例に対する人工内耳の術後語音聴取能の検討
要旨: 本邦の成人人工内耳の適応基準は聴力レベルに重点を置いているが, 米国などの諸外国では語音聴取能に重点を置いたものも存在する。 本邦でも聴力レベルが保たれていても語音聴取能が悪く, 実用的な音声コミュニケーションが困難な症例が存在する。 今回我々は, 良聴耳聴力レベルが4分法で 90dBHL 未満であるが語音聴取能が不良なため, 当科で人工内耳手術を行った中途失聴成人9症例の術後成績を検討した。 全9症例の術後語音聴取能の平均は, 両側術前聴力レベルが 90dBHL 以上症例の術後語音聴取能の平均とほぼ同等であった。 術側耳の聴力レベルが 90dBHL 未満であった症例は4例で全例良好な...
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Published in | AUDIOLOGY JAPAN Vol. 60; no. 4; pp. 245 - 251 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本聴覚医学会
30.08.2017
日本聴覚医学会 |
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Summary: | 要旨: 本邦の成人人工内耳の適応基準は聴力レベルに重点を置いているが, 米国などの諸外国では語音聴取能に重点を置いたものも存在する。 本邦でも聴力レベルが保たれていても語音聴取能が悪く, 実用的な音声コミュニケーションが困難な症例が存在する。 今回我々は, 良聴耳聴力レベルが4分法で 90dBHL 未満であるが語音聴取能が不良なため, 当科で人工内耳手術を行った中途失聴成人9症例の術後成績を検討した。 全9症例の術後語音聴取能の平均は, 両側術前聴力レベルが 90dBHL 以上症例の術後語音聴取能の平均とほぼ同等であった。 術側耳の聴力レベルが 90dBHL 未満であった症例は4例で全例良好な術後成績が得られた。 術側耳の聴力レベルが 90dBHL 以上で非術側耳の聴力レベルが 90dBHL 未満であった5症例では術後成績にばらつきを認めた。 本研究から語音聴取能が不良な聴力レベルが 90dBHL 未満の症例にも人工内耳の良い適応となる症例が存在することが示唆された。 |
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ISSN: | 0303-8106 1883-7301 |
DOI: | 10.4295/audiology.60.245 |