左蝶形骨縁髄膜腫術後に反対側に発生した右海綿静脈洞部 dAVF の1例

要旨:【緒言】硬膜動静脈瘻(dural arteriovenous fistula: dAVF)は硬膜内での異常な動静脈シャントであり,稀な疾患である.蝶形骨縁髄膜腫術後に対側海綿静脈洞部に発生した症候性のdAVFを経験したので文献的考察を加えて報告する.【症例】69歳,女性.ふらつき精査にて見つかった左蝶形骨縁髄膜腫が経過の中で増大傾向を認め,開頭腫瘍摘出術を施行した.周術期合併症なく経過したが,術半年後より右拍動性耳鳴を自覚,さらに半年後に複視が出現し,精査のDSAで海綿静脈洞部dAVFと診断した.経静脈的に塞栓術を施行し,シャントの完全閉塞が得られた.術後1年の段階で症状の再発なく,髄膜...

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Published in脳卒中 Vol. 43; no. 2; pp. 142 - 147
Main Authors 瀬川, 将史, 小野, 秀明, 青野, 峻也, 三谷, 知広, 庄島, 正明, 谷島, 健生, 田村, 晃, 齋藤, 勇
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中学会 2021
日本脳卒中学会
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Summary:要旨:【緒言】硬膜動静脈瘻(dural arteriovenous fistula: dAVF)は硬膜内での異常な動静脈シャントであり,稀な疾患である.蝶形骨縁髄膜腫術後に対側海綿静脈洞部に発生した症候性のdAVFを経験したので文献的考察を加えて報告する.【症例】69歳,女性.ふらつき精査にて見つかった左蝶形骨縁髄膜腫が経過の中で増大傾向を認め,開頭腫瘍摘出術を施行した.周術期合併症なく経過したが,術半年後より右拍動性耳鳴を自覚,さらに半年後に複視が出現し,精査のDSAで海綿静脈洞部dAVFと診断した.経静脈的に塞栓術を施行し,シャントの完全閉塞が得られた.術後1年の段階で症状の再発なく,髄膜腫,dAVF共に再発なく良好に経過している.【結論・考察】髄膜腫摘出後に遠隔にdAVFが生じた症例を経験し,硬膜面動静脈血流や頭蓋内血行動態の変化など複合的な発生機序を考えた.文献的考察を加えて報告する.
ISSN:0912-0726
1883-1923
DOI:10.3995/jstroke.10785