喉頭・下咽頭進行癌治療についての検討-特に喉頭温存について

「はじめに」喉頭癌, 下咽頭癌の治療によって, 発声・嚥下機能を失うことは, 社会生活を営む上で大きな障害となり, 喉頭温存は患者のQOLにとり重要な問題である. 早期癌では化学・放射線療法により, 喉頭を温存できるが1), 進行癌では手術的に喉頭を摘出せざるを得ないことが多い. しかしながら, まれに喉頭を温存できる症例を経験することもあり, 治療方針の決定には慎重にならなくてはならない. 今回, 患者のQOLの向上を目的に, 我々はT3・T4進行癌症例においても喉頭温存が可能であるかの検討を行った. 「対象および方法」検討の対象は, 1987年1月から1996年12月までの10年間に広島大...

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Published in喉頭 Vol. 14; no. 1; pp. 11 - 14
Main Authors 夜陣, 紘治, 木村, 隆広, 福島, 典之, 平川, 勝洋, 平田, 思
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本喉頭科学会 2002
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ISSN0915-6127
2185-4696
DOI10.5426/larynx1989.14.1_11

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Summary:「はじめに」喉頭癌, 下咽頭癌の治療によって, 発声・嚥下機能を失うことは, 社会生活を営む上で大きな障害となり, 喉頭温存は患者のQOLにとり重要な問題である. 早期癌では化学・放射線療法により, 喉頭を温存できるが1), 進行癌では手術的に喉頭を摘出せざるを得ないことが多い. しかしながら, まれに喉頭を温存できる症例を経験することもあり, 治療方針の決定には慎重にならなくてはならない. 今回, 患者のQOLの向上を目的に, 我々はT3・T4進行癌症例においても喉頭温存が可能であるかの検討を行った. 「対象および方法」検討の対象は, 1987年1月から1996年12月までの10年間に広島大学附属病院耳鼻咽喉科で初回治療を行った喉頭癌・下咽頭癌T3・T4症例である. なお, 図1の通り, 当科においては進行癌例に対し, 化学療法2クール, 術前放射線療法40Gyの後に, 喉頭温存可能と思われた例に対しては放射線療法を継続し, 喉頭温存不可能と判断した症例に喉頭摘出術, 咽喉食摘術を行い, 術後放射線療法を行うことを原則としている2,3). しかしながら, 患者が手術を拒否した場合や, 全身状態や年齢などにより医師側の判断で治療法を多少変えた場合があるが, これについては結果の項で示す.
ISSN:0915-6127
2185-4696
DOI:10.5426/larynx1989.14.1_11