重度歯周病患者に対する歯周補綴症例

「I. 症例の概要」患者:49歳(初診時), 女性. 平成元年6月に東京医科歯科大学歯学部附属病院保存科を受診し, 重度の慢性成人性歯周炎と診断された. 歯周病専門医の治療により症状が安定したため, 平成2年11月に同院高齢者歯科に補綴処置を依頼され来院した. 「II. 治療方針」来院時の残存歯は65321⊥23458, 76543T1356m6d7m(m:近心根, d:遠心根, 以下同様に略記)であった. 全顎的に歯周支持組織の喪失が著しく, 歯列の不正と咬合の崩壊が認められた(図1, 3). 各々の歯の保存と咬合の安定を図るためには上下顎ともクロスアーチブリッジによる補綴処置が必要であると...

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Published in日本補綴歯科学会雑誌 Vol. 45; no. 3; pp. 430 - 431
Main Author 小林, 弘清
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 社団法人 日本補綴歯科学会 2001
日本補綴歯科学会
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ISSN0389-5386
1883-177X
DOI10.2186/jjps.45.430

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Summary:「I. 症例の概要」患者:49歳(初診時), 女性. 平成元年6月に東京医科歯科大学歯学部附属病院保存科を受診し, 重度の慢性成人性歯周炎と診断された. 歯周病専門医の治療により症状が安定したため, 平成2年11月に同院高齢者歯科に補綴処置を依頼され来院した. 「II. 治療方針」来院時の残存歯は65321⊥23458, 76543T1356m6d7m(m:近心根, d:遠心根, 以下同様に略記)であった. 全顎的に歯周支持組織の喪失が著しく, 歯列の不正と咬合の崩壊が認められた(図1, 3). 各々の歯の保存と咬合の安定を図るためには上下顎ともクロスアーチブリッジによる補綴処置が必要であると考えた. 「III. 治療内容」6d⊥5, 5T1は保存不可能と診断し, 早期に抜歯した. 6lには分岐部病変が認められたため, 抜髄後歯根分割した. その他歯内治療, MTM等と平行してプロビジョナルブリッジを調整した. 顎位は中心に誘導し, 咬頭傾斜角, オーバーバイト量を小さく設定し, 支台歯に加わる側方力を軽減するようにした. エマージェンスプロファイルは歯根から垂直に立ち上げ, ややアンダー気味のカントゥアを与え, 清掃器具が到達しやすく適切なプラークコントロールができるようにエンプレージャーを設計し, 咬合と歯周組織の安定を図った. しばらく経過を観察し, 問題のないことを確認してから印象操作に移った.
ISSN:0389-5386
1883-177X
DOI:10.2186/jjps.45.430