聴覚障害児の文章音読における発話の速度調節に関する発達的特徴

要旨: 本研究は, 聴覚特別支援学校小学部児童及び中学部・高等部生徒131名を対象に, 発話の速度調節の特徴を解明するために, 3種の速度での文章音読の発話音声を用いて音響分析を実施し, 比較検討を行なった。全発話時間で, 補聴器装用児は小学部低学年段階では Fast と Slow の間のみに差が見られたが, 高等部段階では3種類の速度間に差が見られた。また, 調音時間とポーズ時間の割合で, 学部ごとに裸耳聴力レベル別で比較した結果, 低学年では人工内耳装用群のみ, 高学年では80~99dB 群及び人工内耳装用群, 中学部は~79dB 群以外, 高等部では全ての群で Fast より Slow...

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Published inAUDIOLOGY JAPAN Vol. 64; no. 3; pp. 236 - 244
Main Authors 湯浅, 哲也, 加藤, 靖佳
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本聴覚医学会 30.06.2021
日本聴覚医学会
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Summary:要旨: 本研究は, 聴覚特別支援学校小学部児童及び中学部・高等部生徒131名を対象に, 発話の速度調節の特徴を解明するために, 3種の速度での文章音読の発話音声を用いて音響分析を実施し, 比較検討を行なった。全発話時間で, 補聴器装用児は小学部低学年段階では Fast と Slow の間のみに差が見られたが, 高等部段階では3種類の速度間に差が見られた。また, 調音時間とポーズ時間の割合で, 学部ごとに裸耳聴力レベル別で比較した結果, 低学年では人工内耳装用群のみ, 高学年では80~99dB 群及び人工内耳装用群, 中学部は~79dB 群以外, 高等部では全ての群で Fast より Slow の方が有意にポーズ時間の割合が延長していることが示された。よって, 小学部低学年段階では発話の速度調節が困難であるが, 裸耳聴力レベルに関係なく高等部段階になると調音時間の短縮及びポーズ時間の延長による速度調節を行なうことが明らかになった。
ISSN:0303-8106
1883-7301
DOI:10.4295/audiology.64.236