聴覚・平衡覚の成立における Rho-GTPase の関与

「はじめに」 近年の再生医療研究の発展に伴って, 聴覚・平衡覚障害に対する内耳機能の再生医療に対しても大いに期待が寄せられている. しかしながら, 聴覚・平衡覚システムにおいては複雑な解剖学的・組織学的特徴が再生医療アプローチにおける大きなハードルになっている. 一方で, 内耳有毛細胞を初めとしたシステム特有の細胞における自律的機能回復に着目した研究は, 幹細胞を用いた既存の再生医療とは方向性の異なる新たなアプローチを提供する可能性がある. このような, いわば内耳に対する分子標的治療を実現するためには, 有毛細胞を初めとする内耳特有の細胞種における細胞機能の制御機構について本質的な理解が必要...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inEquilibrium Research Vol. 76; no. 6; pp. 720 - 726
Main Authors 中村, 高志, 上山, 健彦, 坂口, 博史
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published Kyoto 一般社団法人 日本めまい平衡医学会 01.01.2017
日本めまい平衡医学会
Japan Science and Technology Agency
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0385-5716
1882-577X
DOI10.3757/jser.76.720

Cover

Loading…
More Information
Summary:「はじめに」 近年の再生医療研究の発展に伴って, 聴覚・平衡覚障害に対する内耳機能の再生医療に対しても大いに期待が寄せられている. しかしながら, 聴覚・平衡覚システムにおいては複雑な解剖学的・組織学的特徴が再生医療アプローチにおける大きなハードルになっている. 一方で, 内耳有毛細胞を初めとしたシステム特有の細胞における自律的機能回復に着目した研究は, 幹細胞を用いた既存の再生医療とは方向性の異なる新たなアプローチを提供する可能性がある. このような, いわば内耳に対する分子標的治療を実現するためには, 有毛細胞を初めとする内耳特有の細胞種における細胞機能の制御機構について本質的な理解が必要不可欠である. 特に有毛細胞は鋭敏な機械電気変換を実現する上で厳密な組織構築を要するため, 細胞形態を制御する分子群は機能の維持に必須であり, 治療ターゲットの有力な候補となる.
Bibliography:ObjectType-Article-1
SourceType-Scholarly Journals-1
ObjectType-Feature-2
content type line 14
ISSN:0385-5716
1882-577X
DOI:10.3757/jser.76.720