頭位傾斜とかな視標の呈示角度が視力に及ぼす影響
【目的】頭位傾斜と視標の呈示角度がかな視標の正答割合に与える影響について検討した。【対象と方法】対象は眼疾患がなく、裸眼または矯正下で乱視度数が0.5D以下、視力1.5以上の4名(21.67±2.05歳)4眼。頭位条件は頭位傾斜のない0°、時計回りに45°傾斜した+45°、右下側臥位の+90°の3条件、コントラスト97.6%のかな46文字を視標とし、大きさ0.2logMAR〜-0.3logMAR(0.3°〜0.1°)の6条件を設定した。ディスプレイ上に0°、+45°、+90°に呈示し、正答1、誤答0として分散分析を用いて検討した。【結果】-0.1logMAR条件より小さい視標条件で、頭位や呈示...
Saved in:
Published in | 日本視能訓練士協会誌 Vol. 52; pp. 207 - 215 |
---|---|
Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益社団法人 日本視能訓練士協会
2022
日本視能訓練士協会 |
Subjects | |
Online Access | Get full text |
Cover
Loading…
Summary: | 【目的】頭位傾斜と視標の呈示角度がかな視標の正答割合に与える影響について検討した。【対象と方法】対象は眼疾患がなく、裸眼または矯正下で乱視度数が0.5D以下、視力1.5以上の4名(21.67±2.05歳)4眼。頭位条件は頭位傾斜のない0°、時計回りに45°傾斜した+45°、右下側臥位の+90°の3条件、コントラスト97.6%のかな46文字を視標とし、大きさ0.2logMAR〜-0.3logMAR(0.3°〜0.1°)の6条件を設定した。ディスプレイ上に0°、+45°、+90°に呈示し、正答1、誤答0として分散分析を用いて検討した。【結果】-0.1logMAR条件より小さい視標条件で、頭位や呈示角度の影響が現れ、頭位条件に関わらず網膜座標上の視標の呈示角度0°の正答割合が有意に高く、網膜座標上の呈示角度が45°、90°と回転するに従い正答割合は低下した。視標の大きさ-0.3logMAR条件では頭位+90°条件の正答割合が最も低かった。【結論】字や顔を認知しやすい「上」の感覚の軸である知覚的直立位(PU)は網膜座標0°とほぼ重なるとされ、かな視標刺激は頭位の傾斜に関わらず網膜座標0°に呈示した条件で正答割合が高く、網膜に写った像と過去に記憶している文字とマッチングするという認知過程が必要と考えられた。側臥位は座位より正答割合が低く、異なる機序が働いていると考えられた。 |
---|---|
ISSN: | 0387-5172 1883-9215 |
DOI: | 10.4263/jorthoptic.52F203 |