ARHGDIA遺伝子変異による先天性ネフローゼ症候群の男児例
ARHGDIA遺伝子変異による先天性ネフローゼ症候群(CNS)は稀であり,報告症例もいまだ少ない.生後1か月でCNSを発症した男児が,急速に進行する腎機能障害を呈したため,当院転院後に血液透析を経て維持腹膜透析となった.ネフローゼ症候群(NS),腎機能障害以外に,小頭症や小顎症,斜視なども認めた.転院後てんかんも発症した.遺伝子検査にて ARHGDIA遺伝子のホモ接合性の新規のナンセンスバリアント(c.153C>G: (p.Tyr51*))を認めた.母親は同一変異のヘテロ接合体を有しており,片親ダイソミーと考えた.既報によると同遺伝子によるNSの発症様式はCNSと幼児期のステロイド抵抗性...
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Published in | 日本小児腎臓病学会雑誌 Vol. 37; pp. 9 - 14 |
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Main Authors | , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本小児腎臓病学会
2024
日本小児腎臓病学会 |
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Summary: | ARHGDIA遺伝子変異による先天性ネフローゼ症候群(CNS)は稀であり,報告症例もいまだ少ない.生後1か月でCNSを発症した男児が,急速に進行する腎機能障害を呈したため,当院転院後に血液透析を経て維持腹膜透析となった.ネフローゼ症候群(NS),腎機能障害以外に,小頭症や小顎症,斜視なども認めた.転院後てんかんも発症した.遺伝子検査にて ARHGDIA遺伝子のホモ接合性の新規のナンセンスバリアント(c.153C>G: (p.Tyr51*))を認めた.母親は同一変異のヘテロ接合体を有しており,片親ダイソミーと考えた.既報によると同遺伝子によるNSの発症様式はCNSと幼児期のステロイド抵抗性NSの2種類あり,いずれも末期腎不全に至る.合併症として知的障害,けいれん,視覚・聴覚障害があった.小頭症や小顎症は本症例のみだった. ARHGDIA遺伝子変異の表現型を明らかにするため,症例の集積が必要である. |
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ISSN: | 0915-2245 1881-3933 |
DOI: | 10.3165/jjpn.cr.23-007 |