Cl–ポンプロドプシンの分子機構とH+ポンプへの機能変換

「1. Cl-ポンプロドプシン」微生物ロドプシンは, 色素レチナールを補因子とする膜蛋白質の一群である. その多様性と最近までの研究の潮流は, 須藤・小島らの解説で見事にまとめられている. 本稿では, 微生物ロドプシンの1グループであるCl-ポンプロドプシン (以下, Cl-ポンプ) をご紹介したい. Cl-ポンプは, 光エネルギーを用いてCl-を細胞の外から内へ能動輸送する機能を持つ. 膜蛋白質が行う膜輸送は, 生体膜上で行われる重要な生命現象の一つである. 多くの蛋白質が関わる生命現象にご興味をお持ちの方には, 一つの膜蛋白質による膜輸送は非常に単純であり, 「生物らしさ」を感じ難い対象か...

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Published in生物物理 Vol. 61; no. 1; pp. 012 - 015
Main Author 菊川, 峰志
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本生物物理学会 2021
日本生物物理学会
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ISSN0582-4052
1347-4219
DOI10.2142/biophys.61.012

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Summary:「1. Cl-ポンプロドプシン」微生物ロドプシンは, 色素レチナールを補因子とする膜蛋白質の一群である. その多様性と最近までの研究の潮流は, 須藤・小島らの解説で見事にまとめられている. 本稿では, 微生物ロドプシンの1グループであるCl-ポンプロドプシン (以下, Cl-ポンプ) をご紹介したい. Cl-ポンプは, 光エネルギーを用いてCl-を細胞の外から内へ能動輸送する機能を持つ. 膜蛋白質が行う膜輸送は, 生体膜上で行われる重要な生命現象の一つである. 多くの蛋白質が関わる生命現象にご興味をお持ちの方には, 一つの膜蛋白質による膜輸送は非常に単純であり, 「生物らしさ」を感じ難い対象かもしれない. 興味の持ち方は人それぞれであるが, 膜輸送は単純とは言えないであろう.
ISSN:0582-4052
1347-4219
DOI:10.2142/biophys.61.012