肝移植後肝静脈狭窄による二次性膜性増殖性糸球体腎炎の1例

症例は8歳男児.胆道閉鎖症のため生後3か月で葛西手術,1歳7か月時に生体肝移植を施行され,肝移植後肝静脈狭窄症による門脈圧亢進症および蛋白漏出性胃腸症のため長期入院加療されていた.8歳時に高度蛋白尿および血尿が判明し腎生検を施行したところ,光顕にてメサンギウム増殖および基底膜の二重化,蛍光抗体法にてfull house pattern, 電顕にて上皮,内皮下への沈着とメサンギウム間入を認めた.抗核抗体は陰性で,発疹や発熱などの症状はなくループス腎炎は否定的であり,造影CTにて脾静脈の拡張と腹水を認めたため,肝静脈狭窄症に伴う門脈圧亢進による二次性膜性増殖性糸球体腎炎と診断した.蛋白尿はプレドニ...

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Published in日本小児腎臓病学会雑誌 Vol. 37; pp. 1 - 7
Main Authors 渡邊, 祥二郎, 矢野, 真啓, 青木, 利紗, 八木, 悠一郎, 柏木, 孝介, 前澤, 身江子, 千坂, 俊行, 高田, 秀実, 檜垣, 高史, 小川, 晃平, 江口, 真理子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本小児腎臓病学会 2024
日本小児腎臓病学会
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Summary:症例は8歳男児.胆道閉鎖症のため生後3か月で葛西手術,1歳7か月時に生体肝移植を施行され,肝移植後肝静脈狭窄症による門脈圧亢進症および蛋白漏出性胃腸症のため長期入院加療されていた.8歳時に高度蛋白尿および血尿が判明し腎生検を施行したところ,光顕にてメサンギウム増殖および基底膜の二重化,蛍光抗体法にてfull house pattern, 電顕にて上皮,内皮下への沈着とメサンギウム間入を認めた.抗核抗体は陰性で,発疹や発熱などの症状はなくループス腎炎は否定的であり,造影CTにて脾静脈の拡張と腹水を認めたため,肝静脈狭窄症に伴う門脈圧亢進による二次性膜性増殖性糸球体腎炎と診断した.蛋白尿はプレドニゾロンにて速やかに陰性化し,リシノプリルにて寛解を維持している.小児の肝移植後遠隔期において,免疫複合体型糸球体腎炎が発症する可能性がある.
ISSN:0915-2245
1881-3933
DOI:10.3165/jjpn.cr.23-006