ステロイドホルモンの生合成に関与するシトクロムP450

「1. はじめに」 高等生物は自身の成長や形態形成の制御などにステロイドホルモンを利用している. 例えば動物では性ホルモンが性を特徴づけ, 植物ではブラシノステロイド(BR)が成長を促進し, 昆虫ではエクジステロイドが脱皮や変態を促進している. これらステロイドホルモンの生合成にはヘムを活性中心に持つシトクロムP450(P450, CYP)が関わっている. P450は水酸化を始め, ヘテロ原子の脱アルキル化, エポキシ化, 不飽和化, C-C結合の形成や切断など多様な反応を行うことで, ステロイドホルモンの生合成以外に薬物代謝, 二次代謝産物の生合成など様々な機能を担っている. このように化学...

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Published in生物物理 Vol. 61; no. 3; pp. 189 - 191
Main Authors 永野, 真吾, 藤山, 敬介, 日野, 智也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本生物物理学会 2021
日本生物物理学会
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ISSN0582-4052
1347-4219
DOI10.2142/biophys.61.189

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Summary:「1. はじめに」 高等生物は自身の成長や形態形成の制御などにステロイドホルモンを利用している. 例えば動物では性ホルモンが性を特徴づけ, 植物ではブラシノステロイド(BR)が成長を促進し, 昆虫ではエクジステロイドが脱皮や変態を促進している. これらステロイドホルモンの生合成にはヘムを活性中心に持つシトクロムP450(P450, CYP)が関わっている. P450は水酸化を始め, ヘテロ原子の脱アルキル化, エポキシ化, 不飽和化, C-C結合の形成や切断など多様な反応を行うことで, ステロイドホルモンの生合成以外に薬物代謝, 二次代謝産物の生合成など様々な機能を担っている. このように化学, 薬学, 生理学の分野で注目されるP450について, 構造解析や反応機構や阻害剤に関する研究は, P450が発見されて半世紀以上経つ現在でも盛んに行われている. 本稿では, 筆者らが最近報告したブラシノステロイドの生合成に関するP450の研究成果の一部を概説すると共に, ステロイドホルモンの生合成で見られる様々な反応を触媒するP450の反応メカニズムについて紹介したい.
ISSN:0582-4052
1347-4219
DOI:10.2142/biophys.61.189