潰瘍性大腸炎を合併し転帰不良であった上矢状静脈洞血栓症の1例

症例は潰瘍性大腸炎の既往がある43歳女性.左不全片麻痺にて発症し救急受診.頭部CT,MRIより脳梗塞や脳腫瘍等を疑わせる所見であったため,これらに準じた治療を行った.しかし経過中に症状が急速に増悪し,脳血管撮影を行ったところ上矢状静脈洞の閉塞を認めたため,潰瘍性大腸炎に合併した上矢状静脈洞血栓症と診断した.その後も脳浮腫による脳ヘルニアの増大を認め,減圧術も考慮したが家族の同意が得られず保存的治療とし入院7日目に死亡した. 潰瘍性大腸炎に脳静脈洞血栓症を合併することは稀であるが,発症すると本症例の如く急速増悪し,不幸な転帰をとることもあり早期診断・早期治療が非常に重要であると考えられたため報告...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in脳卒中 Vol. 31; no. 2; pp. 117 - 121
Main Authors 郭, 水泳, 郭, 樟吾, 自見, 康孝, 阿部, 俊昭, 本間, 秀樹, 岩本, 哲明
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中学会 2009
日本脳卒中学会
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0912-0726
1883-1923
DOI10.3995/jstroke.31.117

Cover

More Information
Summary:症例は潰瘍性大腸炎の既往がある43歳女性.左不全片麻痺にて発症し救急受診.頭部CT,MRIより脳梗塞や脳腫瘍等を疑わせる所見であったため,これらに準じた治療を行った.しかし経過中に症状が急速に増悪し,脳血管撮影を行ったところ上矢状静脈洞の閉塞を認めたため,潰瘍性大腸炎に合併した上矢状静脈洞血栓症と診断した.その後も脳浮腫による脳ヘルニアの増大を認め,減圧術も考慮したが家族の同意が得られず保存的治療とし入院7日目に死亡した. 潰瘍性大腸炎に脳静脈洞血栓症を合併することは稀であるが,発症すると本症例の如く急速増悪し,不幸な転帰をとることもあり早期診断・早期治療が非常に重要であると考えられたため報告する.
ISSN:0912-0726
1883-1923
DOI:10.3995/jstroke.31.117