機能的電気刺激による内喉頭筋の筋萎縮抑制作用の発現機序の検討

「はじめに」反回神経麻痺では声帯運動の障害ばかりではなく, 脱神経後の内喉頭筋萎縮も生じる. われわれはこれまで, 反回神経麻痺の治療法の一つとして機能的電気刺激(Functional electrical stimulation:FES)の応用について検討し, 実験的に脱神経を生じさせた声門閉鎖筋にFESを加えることで, 声門閉鎖筋の収縮運動を発現し発声運動を改善させうることを報告するとともに1), 脱神経後の声門閉鎖筋に生じる萎縮性変化を抑制しうることを報告してきた2). 電気刺激が脱神経後の筋萎縮を抑制する機構には, 一般的にFESの刺激が廃用性萎縮を抑制する可能性とFESの刺激が上喉頭...

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Published in喉頭 Vol. 16; no. 1; pp. 8 - 12
Main Authors 安達, 正明, 荒川, 卓哉, 野中, 聡, 原渕, 保明, 執行, 寛, 片田, 彰博
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本喉頭科学会 2004
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ISSN0915-6127
2185-4696
DOI10.5426/larynx1989.16.1_8

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Summary:「はじめに」反回神経麻痺では声帯運動の障害ばかりではなく, 脱神経後の内喉頭筋萎縮も生じる. われわれはこれまで, 反回神経麻痺の治療法の一つとして機能的電気刺激(Functional electrical stimulation:FES)の応用について検討し, 実験的に脱神経を生じさせた声門閉鎖筋にFESを加えることで, 声門閉鎖筋の収縮運動を発現し発声運動を改善させうることを報告するとともに1), 脱神経後の声門閉鎖筋に生じる萎縮性変化を抑制しうることを報告してきた2). 電気刺激が脱神経後の筋萎縮を抑制する機構には, 一般的にFESの刺激が廃用性萎縮を抑制する可能性とFESの刺激が上喉頭神経を介して中枢神経へ伝達され, 何らかの未知の筋萎縮抑制作用を発現させる可能性が考えられる. しかし, 実際にはどのような機序が筋萎縮の抑制に係わっているのかについては明らかではない. 本研究では, FESによる脱神経後の内喉頭筋萎縮抑制効果に対して上喉頭神経を介した中枢神経系の関与がないかを明らかにするために, ラットの上喉頭神経を切断し喉頭情報の中枢神経への伝達を遮断した状態でFESの筋萎縮抑制効果に影響が現れるのかを解析した.
ISSN:0915-6127
2185-4696
DOI:10.5426/larynx1989.16.1_8