血液がん患者に生じる不眠に関する調査

「緒言」がんは1981年以降わが国の死因の第1位を占めており, その死亡者数は2008年度で年間30万人を超えている. 2008年度の累計では, がんの罹患者数は年間50万人, 闘病中の患者は300万人にのぼり, 今後さらにがん患者が増加することが予想される. がん患者は, がんの確定診断に必要な検査, 診断, 病名告知, 苦痛を伴う治療, がんの再発と進行, 終末期における緩和医療といった臨床経過をたどり, その経過の中で多くの危機的ストレスに曝露され, 「否認, 怒り, 取り引き, 抑うつ, 受容」といった心理的な反応を示す1). がんの告知後1~2週間以内に生じる心理的な反応には, 否定...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in医療薬学 Vol. 36; no. 8; pp. 580 - 586
Main Authors 半谷, 眞七子, 亀井, 浩行, 内藤, 和行, 福井, 愛子, 平野, 茂樹, 山田, 享, 松葉, 和久
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人日本医療薬学会 2010
日本医療薬学会
Online AccessGet full text
ISSN1346-342X
1882-1499
DOI10.5649/jjphcs.36.580

Cover

More Information
Summary:「緒言」がんは1981年以降わが国の死因の第1位を占めており, その死亡者数は2008年度で年間30万人を超えている. 2008年度の累計では, がんの罹患者数は年間50万人, 闘病中の患者は300万人にのぼり, 今後さらにがん患者が増加することが予想される. がん患者は, がんの確定診断に必要な検査, 診断, 病名告知, 苦痛を伴う治療, がんの再発と進行, 終末期における緩和医療といった臨床経過をたどり, その経過の中で多くの危機的ストレスに曝露され, 「否認, 怒り, 取り引き, 抑うつ, 受容」といった心理的な反応を示す1). がんの告知後1~2週間以内に生じる心理的な反応には, 否定的な態度や絶望に伴う不安, 抑うつ気分, 食思不振, 不眠, 集中力低下などがある. これらの精神症状は危機的ストレスに対する「正常な心理的反応」であり, 告知の2週間後から適応の努力が始まる2). しかし, がん患者が呈するこれらの精神症状の中には告知2週間後も継続, 悪化する場合があり, 病的なレベルに至っても見過ごされやすい.
ISSN:1346-342X
1882-1499
DOI:10.5649/jjphcs.36.580