進行性脳卒中に対して急性期血管内治療を施行した2症例

内科的治療で症状の再発を抑えることのできなかった進行性脳卒中に対し,急性期に血管内治療を行い,良好な結果が得られた症例を経験した.患者1は内頸動脈高度狭窄例であり,脳梗塞の発症機序として動脈原性脳塞栓(artery to artery embolism)や血行力学性の2つが考えられた.患者2は脳底動脈の高度狭窄例であり,発症機序として血行力学性が考えられた.通常,頭蓋内あるいは頸部脳主幹動脈の狭窄病変に起因する脳梗塞の急性期治療は抗血栓療法などを用いた内科的治療が一般的であり,外科的治療は待機的に検討される.内科的治療でも症状をコントロールすることができない進行性脳卒中に対しては,急性期に外科...

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Published in脳卒中 Vol. 33; no. 1; pp. 143 - 149
Main Authors 棚橋, 紀夫, 出口, 一郎, 武田, 英孝, 福岡, 卓也, 名古屋, 春満, 傳法, 倫久
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中学会 2011
日本脳卒中学会
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ISSN0912-0726
1883-1923
DOI10.3995/jstroke.33.143

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Summary:内科的治療で症状の再発を抑えることのできなかった進行性脳卒中に対し,急性期に血管内治療を行い,良好な結果が得られた症例を経験した.患者1は内頸動脈高度狭窄例であり,脳梗塞の発症機序として動脈原性脳塞栓(artery to artery embolism)や血行力学性の2つが考えられた.患者2は脳底動脈の高度狭窄例であり,発症機序として血行力学性が考えられた.通常,頭蓋内あるいは頸部脳主幹動脈の狭窄病変に起因する脳梗塞の急性期治療は抗血栓療法などを用いた内科的治療が一般的であり,外科的治療は待機的に検討される.内科的治療でも症状をコントロールすることができない進行性脳卒中に対しては,急性期に外科的治療を行うことも考慮されるが,待機的な外科的治療とは異なり緊急での外科的治療は,治療行為にともなう合併症発現の危険性がより高まると思われる.したがって個々の患者ごとに正確に病態を把握し,治療適応をみきわめることが重要と考える.
ISSN:0912-0726
1883-1923
DOI:10.3995/jstroke.33.143