脳梗塞後のアパシーに対するシロスタゾールの効果

脳卒中後にアパシーを合併することはよく知られている.またアパシーは血管性認知症に先行する症状であるとともに廃用性認知機能障害をきたす重要な要因でもあり,アパシーを早期に診断し対策を講じることにより血管性認知症への進展を抑制,遅延させることが重要である.一方で,脳卒中後のアパシーの病態に関する検討はまだ少なく,治療に関するエビデンスレベルも低い.脳梗塞の再発予防に使用されるシロスタゾールは抗血小板作用の他に,血管拡張作用,神経保護作用があり,脳内のドパミン濃度を上昇させることが報告されており,脳梗塞後のアパシーに有効である可能性が考えられる.今回,脳梗塞後のアパシーに対するシロスタゾールの影響を...

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Published in脳卒中 Vol. 33; no. 1; pp. 182 - 184
Main Authors 雑賀, 玲子, 卜蔵, 浩和, 安部, 哲史, 山口, 修平, 河野, 直人, 青山, 淳夫, 豊田, 元哉, 白澤, 明, 三瀧, 真悟, 小林, 祥泰
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中学会 2011
日本脳卒中学会
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ISSN0912-0726
1883-1923
DOI10.3995/jstroke.33.182

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Summary:脳卒中後にアパシーを合併することはよく知られている.またアパシーは血管性認知症に先行する症状であるとともに廃用性認知機能障害をきたす重要な要因でもあり,アパシーを早期に診断し対策を講じることにより血管性認知症への進展を抑制,遅延させることが重要である.一方で,脳卒中後のアパシーの病態に関する検討はまだ少なく,治療に関するエビデンスレベルも低い.脳梗塞の再発予防に使用されるシロスタゾールは抗血小板作用の他に,血管拡張作用,神経保護作用があり,脳内のドパミン濃度を上昇させることが報告されており,脳梗塞後のアパシーに有効である可能性が考えられる.今回,脳梗塞後のアパシーに対するシロスタゾールの影響を島根大学版やる気スコアを用いてアスピリン投与群と比較検討した.各薬剤を6カ月投与した結果,アスピリン群に比し,シロスタゾール群ではアパシーが有意に改善した.以上よりシロスタゾールは脳梗塞後アパシーに有効である可能性が示唆された.
ISSN:0912-0726
1883-1923
DOI:10.3995/jstroke.33.182