破裂脳動脈瘤開頭クリッピング術後の脳塞栓について

(目的)急性期破裂脳動脈瘤手術において脳虚血は,頻度の高い合併症であるが,今回周術期の脳塞栓の発生頻度を明らかにし,検討を加えたので報告する. (対象,方法)2004年から2006年まで当院で,開頭クリッピング術を行った急性期破裂脳動脈瘤の患者のうち,術前と術後5日以内にMRIを施行した131例を対象とした.術後拡散強調画像(DWI)で新たに脳塞栓症と診断された症例を抽出し検討を加えた. (結果)131例中11例(8.4%)に新たな脳塞栓症が出現した.うち8例では,手術側にのみ梗塞巣が出現していた.4例では一時血行遮断をした血管領域の塞栓が認められた.症状を呈したのは,両側性多発性の梗塞を来た...

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Published in脳卒中 Vol. 30; no. 3; pp. 478 - 483
Main Authors 渡邉, 善一郎, 前野, 和重, 渡邉, 貞義, 田村, 晋也, 伊崎, 堅志, 菊池, 泰裕, 後藤, 博美, 小泉, 仁一, 渡邉, 一夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中学会 2008
日本脳卒中学会
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Summary:(目的)急性期破裂脳動脈瘤手術において脳虚血は,頻度の高い合併症であるが,今回周術期の脳塞栓の発生頻度を明らかにし,検討を加えたので報告する. (対象,方法)2004年から2006年まで当院で,開頭クリッピング術を行った急性期破裂脳動脈瘤の患者のうち,術前と術後5日以内にMRIを施行した131例を対象とした.術後拡散強調画像(DWI)で新たに脳塞栓症と診断された症例を抽出し検討を加えた. (結果)131例中11例(8.4%)に新たな脳塞栓症が出現した.うち8例では,手術側にのみ梗塞巣が出現していた.4例では一時血行遮断をした血管領域の塞栓が認められた.症状を呈したのは,両側性多発性の梗塞を来たした1例のみであった. (結論)急性期破裂脳動脈瘤周術期の脳塞栓の発生には,手術操作が原因である可能性が高いが,手術と直接関係のない部位の脳塞栓も認められており,今後更に注意し検討を要する合併症である.
ISSN:0912-0726
1883-1923
DOI:10.3995/jstroke.30.478