巨大塞栓子による急性期頚部内頚動脈閉塞症の2症例

症例1 : 63歳, 男性. 右完全片麻痺, 全失語にて発症. CTにて明らかな異常を認めず, 脳血管撮影にて巨大塞栓子による左頚部内頚動脈閉塞を認めた. 血栓の脇にカテーテルを進め末梢側で造影したところ, 内頚動脈分岐部で閉塞を認めた. 末梢部の血栓溶解を施行し側副血行路を開通させ, 症状の回復が見られたが, 2日後に頚部血栓が末梢へ移動し, 高度の後遺症が残存した. 症例2 : 79歳, 男性. 右不全片麻痺, 失語にて発症. 脳血管撮影では, 巨大塞栓子による左頚部内頚動脈閉塞を認め, 側副血行により左中大脳動脈が描出された. 左内頚動脈が逆行性に錐体部まで描出されていたため, 緊急で頚...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in脳卒中 Vol. 29; no. 4; pp. 520 - 526
Main Authors 旭, 雄士, 久保, 道也, 桑山, 直也, 林, 央周, 若杉, 雅浩, 丹下, 大祐, 奥寺, 敬, 遠藤, 俊郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中学会 2007
日本脳卒中学会
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:症例1 : 63歳, 男性. 右完全片麻痺, 全失語にて発症. CTにて明らかな異常を認めず, 脳血管撮影にて巨大塞栓子による左頚部内頚動脈閉塞を認めた. 血栓の脇にカテーテルを進め末梢側で造影したところ, 内頚動脈分岐部で閉塞を認めた. 末梢部の血栓溶解を施行し側副血行路を開通させ, 症状の回復が見られたが, 2日後に頚部血栓が末梢へ移動し, 高度の後遺症が残存した. 症例2 : 79歳, 男性. 右不全片麻痺, 失語にて発症. 脳血管撮影では, 巨大塞栓子による左頚部内頚動脈閉塞を認め, 側副血行により左中大脳動脈が描出された. 左内頚動脈が逆行性に錐体部まで描出されていたため, 緊急で頚動脈血栓摘出術を施行し, 術後, 症状の改善が見られた. 巨大塞栓子による急性期頚部内頚動脈閉塞症は稀な疾患であり, 血栓溶解療法による再開通が困難で, 開通した場合でも末梢塞栓を起こしやすい. われわれが経験した2症例を踏まえ, 治療フローチャートを提唱する.
ISSN:0912-0726
1883-1923
DOI:10.3995/jstroke.29.520