高度の大脳白質病変を背景に発症した脳梗塞の特徴

高齢者で多くみられる大脳白質病変は虚血性変化と考えられているが, 白質病変が高度であれば脳梗塞発症の危険が高いことが指摘されている. 今回, 高度の大脳白質病変を背景に発症した脳梗塞の臨床像と画像所見の特徴を調べた. 心原性脳塞栓を除く内頸動脈領域の梗塞で入院した133例の中で, 大脳に高度の深部白質病変がある22例を対象とした. 梗塞巣はMRI拡散強調像で調べた. 神経症状は20例でラクナ症候群を呈した. しかし画像診断では, 多発性小梗塞が12例, branch atheromatous diseaseが6例, ラクナ梗塞が2例, その他のアテローム血栓性梗塞が2例であった. 高度の白質病...

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Published in脳卒中 Vol. 29; no. 4; pp. 514 - 519
Main Authors 鉾之原, 敏博, 山田, 猛, 谷脇, 予志秀, 荒木, 栄一, 金森, 祐治
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中学会 2007
日本脳卒中学会
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ISSN0912-0726
1883-1923
DOI10.3995/jstroke.29.514

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Summary:高齢者で多くみられる大脳白質病変は虚血性変化と考えられているが, 白質病変が高度であれば脳梗塞発症の危険が高いことが指摘されている. 今回, 高度の大脳白質病変を背景に発症した脳梗塞の臨床像と画像所見の特徴を調べた. 心原性脳塞栓を除く内頸動脈領域の梗塞で入院した133例の中で, 大脳に高度の深部白質病変がある22例を対象とした. 梗塞巣はMRI拡散強調像で調べた. 神経症状は20例でラクナ症候群を呈した. しかし画像診断では, 多発性小梗塞が12例, branch atheromatous diseaseが6例, ラクナ梗塞が2例, その他のアテローム血栓性梗塞が2例であった. 高度の白質病変がない111例と比べると多発性小梗塞の割合は有意に高かった. 高度の深部白質病変がある症例では脳梗塞の発症時にラクナ症候群を呈することが多いが, 脳梗塞発症の背景には主幹動脈の動脈硬化病変が深く関わっていることが考えられる.
ISSN:0912-0726
1883-1923
DOI:10.3995/jstroke.29.514