Nonthyroidal illnessに対するT3投与効果

「1.はじめに」 生体が侵襲を受けると内部環境の乱れが生じ, それに対して種々の反応がみられる. 反応の多くは生体にとって有利に働くはずであるが, その反応自体が生体にとって不利な状態を作り出したり, 侵襲そのものになることがある. そのひとつにnonthyroidal illness, low T3 syndromeまたはeuthyroid sick syndromeと呼ばれる甲状腺機能低下状態があり1,2), 侵襲が強いほど頻度は高くなる. これは, 癌が進行した状態では予後因子でもあり3), サイトカインとも関連があることがわかってきた4,5). 一方, 多発外傷, 急性膵炎, 敗血症な...

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Published inTHE KITAKANTO MEDICAL JOURNAL Vol. 50; no. 6; pp. 545 - 546
Main Author 横江, 隆夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 北関東医学会 2000
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Summary:「1.はじめに」 生体が侵襲を受けると内部環境の乱れが生じ, それに対して種々の反応がみられる. 反応の多くは生体にとって有利に働くはずであるが, その反応自体が生体にとって不利な状態を作り出したり, 侵襲そのものになることがある. そのひとつにnonthyroidal illness, low T3 syndromeまたはeuthyroid sick syndromeと呼ばれる甲状腺機能低下状態があり1,2), 侵襲が強いほど頻度は高くなる. これは, 癌が進行した状態では予後因子でもあり3), サイトカインとも関連があることがわかってきた4,5). 一方, 多発外傷, 急性膵炎, 敗血症などの重症救急疾患では, 生体防御反応としての高サイトカイン血症によりSIRS(systemic inflammatory syndrome)と呼ばれる全身性の反応が起こる. この病態が遷延するとMOF(multiple organ failure)に至るため, SIRS状態を改善する抗サイトカイン治療が試みられている.
ISSN:1343-2826
1881-1191
DOI:10.2974/kmj.50.545