両側尺骨非定型骨折を来した2症例

【目的】尺骨非定型骨折は報告が少なく,治療戦略は未だ確立されていない.2例4肢の尺骨非定型骨折を経験したので文献的考察を加え報告する.【対象】症例1:68歳女性,症例2:90歳女性の両側尺骨近位骨幹部非定型骨折.2例とも10年以上のビスフォスホネート製剤の使用歴があり,軽微な外力で受傷した.【結果】2例とも先に非利き腕側を受傷し,保存的加療で偽関節となり,後に偽関節手術(骨折部新鮮化,症例2は骨移植併用)を要した.利き腕側は2例とも受傷1週目に内固定を施行(骨折部新鮮化,症例2は骨移植併用)し,早期骨癒合を得た.【考察】過去の報告をみても尺骨非定型骨折の保存的加療の治療成績は不良であり,骨折部...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 72; no. 1; pp. 39 - 43
Main Authors 新庄, 慶大, 福徳, 款章, 田中, 孝幸, 有馬, 準一, 岡野, 博史, 土井, 俊郎, 高野, 祐護
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 25.03.2023
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ISSN0037-1033
1349-4333
DOI10.5035/nishiseisai.72.39

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Summary:【目的】尺骨非定型骨折は報告が少なく,治療戦略は未だ確立されていない.2例4肢の尺骨非定型骨折を経験したので文献的考察を加え報告する.【対象】症例1:68歳女性,症例2:90歳女性の両側尺骨近位骨幹部非定型骨折.2例とも10年以上のビスフォスホネート製剤の使用歴があり,軽微な外力で受傷した.【結果】2例とも先に非利き腕側を受傷し,保存的加療で偽関節となり,後に偽関節手術(骨折部新鮮化,症例2は骨移植併用)を要した.利き腕側は2例とも受傷1週目に内固定を施行(骨折部新鮮化,症例2は骨移植併用)し,早期骨癒合を得た.【考察】過去の報告をみても尺骨非定型骨折の保存的加療の治療成績は不良であり,骨折部の生物学的活性低下と不十分な安定性が主要因と考えられる.したがって尺骨非定型骨折の骨癒合を有利にするためには,受傷早期の骨折部新鮮化と強固な内固定を考慮し,骨移植の併用を検討する価値がある.
ISSN:0037-1033
1349-4333
DOI:10.5035/nishiseisai.72.39