めまい・頭痛のみを主訴に来院し椎骨脳底動脈解離による脳梗塞と診断した1例

症例は47歳女性.後頭部痛とめまいを主訴に来院した.頭部CTでは異常所見を認めず,点滴と安静により症状が軽減したため帰宅された.翌日構音障害,嚥下障害,左顔面麻痺,左片麻痺,左感覚異常などが出現し,当科受診となった.MRI拡散強調画像で,脳幹と小脳に多発性梗塞を認め,MRAでは両側椎骨動脈遠位部と脳底動脈先端部で描出が不良であった.同部位は3D-CT angiographyでも局所的な途絶像を呈したが,MRIのbasi-parallel anatomical scanning (BPAS)画像では血管の外径が拡張していた.以上の所見より,椎骨脳底動脈解離による多発性脳梗塞と診断した.椎骨動脈解...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in脳卒中 Vol. 33; no. 1; pp. 114 - 118
Main Authors 藤本, 茂, 佐渡島, 省三, 山本, 智彦, 井上, 琢哉, 陣内, 重郎, 鈴木, 聡
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中学会 2011
日本脳卒中学会
Online AccessGet full text
ISSN0912-0726
1883-1923
DOI10.3995/jstroke.33.114

Cover

More Information
Summary:症例は47歳女性.後頭部痛とめまいを主訴に来院した.頭部CTでは異常所見を認めず,点滴と安静により症状が軽減したため帰宅された.翌日構音障害,嚥下障害,左顔面麻痺,左片麻痺,左感覚異常などが出現し,当科受診となった.MRI拡散強調画像で,脳幹と小脳に多発性梗塞を認め,MRAでは両側椎骨動脈遠位部と脳底動脈先端部で描出が不良であった.同部位は3D-CT angiographyでも局所的な途絶像を呈したが,MRIのbasi-parallel anatomical scanning (BPAS)画像では血管の外径が拡張していた.以上の所見より,椎骨脳底動脈解離による多発性脳梗塞と診断した.椎骨動脈解離は若年発症の脳梗塞では重要な原因の一つであるが,めまいや頭痛のみで発症することも少なくない.3D-CT angiographyやMRIで比較的容易に診断できるため,見落とさないための指針が必要と思われた.
ISSN:0912-0726
1883-1923
DOI:10.3995/jstroke.33.114